高齢者や心臓に病気を抱えている人は、暑さよりも寒さに注意すべきかもしれない。心血管死(心筋梗塞や脳卒中などによる死亡)のリスクは、暑さよりも寒さとの関連が強いとする研究結果が報告された。リスクが最低となるのは約23℃で、心血管死のおよそ8割は、それ以下の気温の時に発生しているという。米マウントサイナイ・アイカーン医科大学のPedro Rafael Vieira de Oliveira Salerno氏らが米国心臓病学会年次学術集会(ACC.26、3月28~30日、ニューオーリンズ)で発表し、また、研究内容が3月24日に「American Journal of Preventive Cardiology」に短報として掲載された。発表によると、心血管死の16件に1件は寒さと関連付けられたのに対して、暑さと関連付けられた心血管死は300件に1件にすぎなかった。Salerno氏は、「熱波が健康問題の焦点となっている現在、多くの人にとって意外かもしれないが、長期的に見ると気温の低さの方が、はるかに多くの心血管死を引き起こしている」と話している。Salerno氏らは、米国の25歳超の人口の81.9%が含まれる819郡で2000~2020年の20年間で発生した、25歳以上の心血管死1418万68件を、各郡の月平均気温と関連付けた解析を行った。心血管死は、国際疾病分類(ICD-10)のコードI00~I99に該当する疾患(心筋梗塞、心不全、不整脈、心筋症、弁膜症、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、大動脈解離、肺塞栓症、心膜炎など)による死亡と定義した。解析の結果、心血管死のリスクが最低となる気温は23.2℃であった。暑さに関連した死亡は1年間で2,242件(10万人年当たり1.3)と推定されるのに対して、寒さに関連した死亡は同4万2,735件(25.6)と推定された。これらのデータを基にした検討の結果、心血管死全体の6.3%は寒さに伴い発生し、0.33%は暑さに伴い発生したものと推定された。この結果について研究者らは、寒さは血圧を高め、心臓の酸素需要を上昇させる傾向があり、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高める可能性があると述べている。またSalerno氏は、「臨床医は心血管疾患の発症には季節的なパターンがあるものだと片付けてしまいがちだが、われわれの研究結果は、寒さへの曝露が人口レベルでどの程度の影響を及ぼすのか、定量的に把握することを可能にしている」と本研究の意義を述べている。さらに同氏は、「異常気象による極端な寒さだけが問題なのではなく、日常的な寒さへの曝露でさえ、脆弱な患者にとっては心血管死のリスクを高める可能性がある」と強調している。(HealthDay News 2026年3月31日) https://www.healthday.com/health-news/cardiovascular-diseases/cold-weather-more-deadly-for-the-heart-than-heat-study-finds Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock