心筋梗塞の既往がある人は認知機能の低下が速く、認知機能障害へ進行するリスクも高いことを示すデータが報告された。心筋梗塞を経験していない人と比較して、認知機能障害に進行するリスクが、1年当たり約5%高いという。米オハイオ州立大学のMohamed Ridha氏らの研究によるもので、詳細は「Stroke」に5月14日掲載された。この研究は、脳卒中リスクの地理的・人種的差異を検討する疫学研究(REGARDS)のデータを用いて行われた。追跡開始時点(ベースライン)で認知機能障害が記録されていた人や、解析に必要なデータのない人などを除外し、2万923人(年齢中央値63歳〔四分位範囲57~70〕、女性57.2%)を、中央値10.1年(四分位範囲7.0~12.1)追跡して、認知機能の低下速度と認知機能障害の発生リスクを心筋梗塞の既往の有無で比較した。対象者は毎年1回、電話による6項目の課題から成る認知機能のスクリーニング(スコア範囲0~6)を受け、スコアが5点未満の場合に認知機能障害と判定された。ベースラインにおいて、全体の10.4%に心筋梗塞の既往が認められた。その内訳は、自己申告があるが心電図異常は認められないケース(自己申告による心筋梗塞)が5.2%、自己申告と心電図異常がともに認められるケース(臨床的心筋梗塞)が1.3%、自己申告はないが心電図異常が認められるケース(無症候性心筋梗塞)が3.8%だった。認知機能に影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、人種、BMI、喫煙・飲酒・運動習慣、高血圧、糖尿病、腎機能、冠動脈疾患、心房細動、教育歴、収入、抑うつ傾向、居住地域など)を調整後、心筋梗塞の既往のある人はその既往のない人よりも、認知機能障害のリスクが1年当たり4.8%高いことが示された(オッズ比〔OR〕1.048〔95%信頼区間1.025~1.072〕)。心筋梗塞を経験した自覚のない無症候性心筋梗塞のみを対象とした解析でも、ほぼ同様のリスク上昇が観察された(OR1.047〔同1.010~1.085〕)。男女別に解析した結果、男性では、全ての心筋梗塞の既往が認知機能障害リスクと有意に関連していた。一方、女性では、自己申告による心筋梗塞と無症候性心筋梗塞は認知機能障害リスクとの関連が有意だったが、臨床的心筋梗塞については非有意だった。研究者らは、「無症候性心筋梗塞は女性に多いため、この結果は重要だ」としている。論文の筆頭著者であるRidha氏は、これらの結果の総括として、「米国民の間では認知症や認知機能低下による負担が増大していることから、心筋梗塞のような心血管疾患が脳の健康にどのような影響を与えるかを理解することが欠かせない」と述べている。また、「心筋梗塞の既往のある患者を診る臨床医は、認知機能の低下を抑制するためにできることを伝える必要がある」と付け加えている。(HealthDay News 2026年5月14日) https://www.healthday.com/health-news/cardiovascular-diseases/heart-attack-survivors-have-higher-risk-of-brain-decline Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock