高血圧に対して広く処方されている降圧薬が、2型糖尿病患者の腎障害リスクを高める可能性を示唆するデータが報告された。ジヒドロピリジン系カルシウムチャネル拮抗薬(DCCB)が処方されている患者では、腎障害の発生リスクが、同薬が処方されていない患者に比べて33%高いという。ラビン医療センター(イスラエル)のTimna Agur氏らが、第63回欧州腎臓学会学術集会(63rd ERA Congress、6月3~6日、英・グラスゴー)で発表した。DCCBに該当する具体的な薬剤名としては、アムロジピンやニフェジピンなどが挙げられる。研究者らによると、これらの薬剤は血管を弛緩させることで血圧を低下させるように作用し、糖尿病性腎臓病(DKD)患者に対する追加の降圧治療薬として広く処方されている。しかしAgur氏らの研究から、DCCBが処方されている患者では、腎臓保護作用のあるほかの薬剤を服用していても腎障害リスクが高まることが示唆された。同氏は、「われわれの研究結果は、最新の腎保護療法をすでに受けている患者にとって、DCCBの併用が常に最良の選択肢なのかという、重要な疑問を提起するものだ」と述べている。今回、Agur氏らは、2016~2021年に収集された成人2型糖尿病患者3万1,031人のデータを解析した。全ての患者に、レニン・アンジオテンシン系阻害薬(RAS阻害薬)とナトリウム・グルコース共輸送体2阻害薬(SGLT2-i)という、DKDの治療を大きく進歩させた2種類の薬剤が処方されていた。1万2,172人(39.2%)にはさらにDCCBが処方され、1万8,859人(60.8%)にはDCCB以外の降圧薬が処方されていた。約3年半(中央値)追跡し、主要腎イベント(推定糸球体濾過量〔eGFR〕が40%以上低下、または透析や移植を要する末期腎不全への進行)の発生リスクをDCCB処方の有無で比較した。結果に影響を及ぼし得る交絡因子を調整後、DCCBが処方されていた患者は主要腎イベントの発生リスクが33%高いことが明らかになった(ハザード比 1.33、95%信頼区間 1.03~1.73)。研究者らによると、DCCBは腎臓に血液を送り込む血管を拡張させる一方、腎臓から血液を送り出す血管の拡張作用は弱く、その結果として糸球体内圧が上昇し、腎障害につながる可能性があるという。Agur氏は「データを解析する前は、SGLT2-iなどの腎保護効果がDCCBの潜在的な悪影響を相殺するのではないかと考えていた。しかし、そのような保護効果によってもリスク上昇は打ち消されないことが示された」と語っている。ただし同氏らは、「今回の研究は観察研究であり、直接的な因果関係は検証できない」と解釈に注意を促しながらも、「DCCBがこの患者集団で非常に広く処方されていることを踏まえると、今回の結果は臨床的に重要な意味を持つ」としている。なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。(HealthDay News 2026年6月5日) https://www.healthday.com/health-news/diabetes/popular-blood-pressure-meds-linked-to-kidney-damage-risk-in-type-2-diabetes Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock (参考情報)Press Releasehttps://www.era-online.org/publications/common-blood-pressure-medication-associated-with-poorer-kidney-outcomes-in-type-2-diabetes-new-study-shows/