生活習慣の改善によって、複数の慢性疾患の併存リスクが約20%低下することを示すデータが報告された。観察期間が20年以上に及ぶ研究の結果であり、米国立老化研究所のMarcel E. Salive氏らによるこの論文は、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に6月15日掲載された。一方、糖尿病治療薬であるメトホルミンでは、複数の慢性疾患の併存リスク低下は認められなかった。この研究は、米国内27施設で1996年6月1日~2021年12月31日にわたる、ランダム化臨床試験の参加者を20年以上追跡した研究として実施された。対象者は1996年6月~1999年5月に登録された糖尿病予防プログラム(DPP)の参加者であり、このDPPでは糖尿病リスクの高い成人3,234人が、集中的な生活習慣改善指導を行う群(生活習慣介入群)、メトホルミン群、プラセボ群のいずれかにランダムに割り付けられ、3年間の介入を受けていた。生活習慣介入群では、週150分以上の運動と食事改善によって体重を7%以上減らすことを目標とした。DPP終了後、同意の得られた参加者のアウトカムを継続観察する研究(DPPOS)が実施された。DPPOS期間中は盲検化が解除され、メトホルミンの投与は継続されていた。また、生活習慣介入群に対しては半年ごとに、グループベースでの追加介入が実施され、2014年までは全ての参加者に四半期ごとの生活習慣指導が行われていた。本研究では、DPPOS参加者1,173人(年齢中央値74歳、女性68%)の2021年までのデータを使用。15種類の慢性疾患(心血管疾患や慢性腎臓病、がんなど)のうち2種類以上を抱えた状態を「多疾患併存」と定義し、これを評価する解析を実施した。観察期間中に997人(85%)が多疾患併存状態となった。DPPにおける割り付け別に見ると、生活習慣介入群82%、メトホルミン群85%、プラセボ群87%であった。年齢や性別などの影響を考慮して解析したところ、生活習慣介入群はプラセボ群よりも多疾患併存のリスクが21%有意に低いことが示された(ハザード比〔HR〕 0.79)。一方、メトホルミン群とプラセボ群の間には有意差が認められなかった(HR 0.91)。また、慢性疾患として糖尿病を含めない場合でも、同様の結果が得られた。これらの結果について、米ノースウェル・ノースショア大学病院およびロングアイランド・ジューイッシュ医療センターのShirin Jaggi氏は、「患者に対して『ただ薬を服用するだけではなく、生活習慣を改善することで、現在だけでなく将来にも大きな違いがもたらされる』と伝えることが可能となった。これは素晴らしいことだと思う」と論評した。また同氏は、生活習慣改善のアドバイスとして、無理のない運動からスタートし、徐々にレベルアップしていくことを勧めている。また食生活の改善についても、短期間で集中的に行うより、長期的に継続可能な健康的でバランスの取れたスタイルにしていくことの重要性を強調している。(HealthDay News 2026年6月16日) https://www.healthday.com/health-news/exercise-and-fitness/lifestyle-changes-can-reduce-your-risk-for-multiple-chronic-diseases Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock (参考情報)Abstract/Full Texthttps://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2850450