断食を模倣した食事スタイルを短期間実施することで、歯周病に伴う炎症が軽減されるとする、英キングス・カレッジ・ロンドン(KCL)のGiuseppe Mainas氏らによる論文が6月10日、「Journal of Clinical Periodontology」に掲載された。論文の筆頭著者である同氏は、「本研究結果は歯周病の治療において、適切な歯磨きに加えて生活習慣の改善も重要であることを示唆している」と述べている。歯周病対策として多くの歯科医は、歯の周囲の感染部位の清掃に重点を置いている。一方で、食生活が歯周病に何らかの影響を及ぼす可能性について検討している研究者もいる。Mainas氏らの研究は、スペインで実施された。歯周病患者28人を募集し、無作為に2群に分けて、1群を短期間の断食模倣食を実施する断食群、他の1群を通常の食事を続ける対照群とした。断食群では6カ月の間に3回にわたり、5日間の断食模倣食を実施した。5日間のうち初日の摂取量は約1,100kcalとし、2~5日目は1日当たり約750kcalとして、6日目は普段の食事への移行日、7日目からは通常の食事とした。6カ月間に複数回にわたり、血液と歯肉溝滲出液(歯と歯茎の間の小さな隙間からにじみ出ている液体)を採取して、炎症に関わるマーカーを測定した。その結果、断食群に割り当てられていた患者では、血液と歯肉溝滲出液の双方で炎症マーカーの低下が認められた。論文の上席著者であるKCLのLuigi Nibali氏は、「断食が歯茎の健康に良い影響を与えるメカニズムとして、いくつかの要因が考えられる」とし、以下のような解説を加えている。まず断食は、細胞やDNAにダメージを与え得る「炎症」の主要な原因である、体内の酸化ストレスを軽減するという。また、ケーキやビスケットのような高カロリー食品や精製された炭水化物の摂取も炎症を引き起こす可能性があることから、断食によってそれらの食品の摂取が減ることも、体内の酸化ストレス軽減につながる、としている。Nibali氏はまた、体内の健康維持に有用なマイクロバイオームに対して、断食が有益な効果をもたらす可能性もあるとしている。ただし、「この関係性を確認するには、さらなる研究が求められる」という。Mainas氏らは、今回の研究結果を今後の歯周病治療に反映させるよりも先に、より大規模な研究を行う必要があると考えている。「糖尿病患者など、食事制限の実施が危険なケースもあるため、断食模倣食は対象患者を慎重に選んで推奨すべきだろう。われわれは現在、断食模倣食の実施が困難な高リスク者に対して、明らかにされたメリットをどのような形で適用可能かを検討している」と同氏は述べている。(HealthDay News 2026年6月11日) https://www.healthday.com/health-news/dental-care/can-fasting-treat-gum-disease-study-finds-reduced-inflammation Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock