日常的に起きている些細な天候の変化であっても、メンタルヘルス関連の医療利用に影響が生じることを示唆するデータが報告された。英イースト・アングリア大学のRichard Elson氏らの研究結果であり、詳細は「Frontiers in Psychiatry」に6月30日掲載された。論文の筆頭著者である同氏は、「猛暑のような異常気象だけでなく、日々の天候状況もメンタルヘルス関連の受療行動に影響を及ぼす」と述べている。気象の変化がメンタルヘルスに影響を及ぼすことは既に報告されている。しかし、既存の研究の多くは熱波などの異常気象に焦点を当て、関連性の評価指標にも自殺などの深刻な臨床転帰を用いており、日常的な気象条件の変化とメンタルヘルス関連の医療利用との関連については、エビデンスが限られている。Elson氏らはこの点について、後ろ向き観察研究により検討した。Elson氏らは、2014~2022年の気象データを用いて、イングランド9地域の1日の平均気温、日照時間、降水量を把握した。これらの指標と、メンタルヘルス関連の救急外来(ED)受診、開業医への予定外の受診、公的医療保険(NHS)の電話相談の件数という、三つのアウトカムとの関連性を検討した。解析に際しては、曜日・祝日、季節性、アウトカム発生の長期的な変化の傾向、地域の人口規模の影響を調整した。解析の結果、気温の上昇に伴い約18℃までは、メンタルヘルス関連でのED受診と電話相談が増加するという関連性が明らかになった。18℃を超えるとその傾向は横ばい、あるいは低下に転じた。一方、開業医への予定外受診は、気温との関連は弱く、おおむね横ばいだった。日照時間についてはより明確な影響が認められ、三つのアウトカムのいずれとも、日照時間の少ない日に利用が増加するという関連性が観察された。ED受診には、不安、抑うつ、自傷行為、大量飲酒などに関するものが含まれていた。電話相談に関しては、自傷行為、大量飲酒、睡眠障害などに関するものが多く、予定外受診の理由には不安、抑うつ、自傷行為、睡眠障害などが含まれていた。興味深いことに、降水量に関してはアウトカムとの一貫性のある関連性が観察されなかった。これらの結果から研究者らは、「全般的な気象条件よりも特定の気象条件が、人々のメンタルヘルス関連の受療行動に影響を与えている可能性が示唆される」と考察している。年齢層別の解析では、おおむね全体解析と同様の傾向が見られたが、64歳以上では気温とED受診の間にU字型の関係が見られ、気温が低い時と高い時の双方で利用が増加していた。Elson氏は、「われわれの研究結果は、メンタルヘルス関連の医療需要の変動に日常的な気象条件が影響していることを浮き彫りにするものだ。この知見は、気象条件を踏まえた今後の精神保健サービス施策の計画立案に役立つ可能性がある」と述べている。(HealthDay News 2026年6月30日) https://www.healthday.com/health-news/mental-health/even-mild-weather-changes-impact-mental-health Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock (参考情報)Abstract/Full Texthttps://www.frontiersin.org/journals/psychiatry/articles/10.3389/fpsyt.2026.1835204/full Press Releasehttps://www.uea.ac.uk/about/news/article/everyday-weather-can-increase-demand-for-mental-health-support-study-finds