肥満を伴う関節リウマチ、乾癬性関節炎、炎症性腸疾患などの自己免疫疾患の患者の中で、GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)が処方されている人は、死亡リスクや血栓症のリスクが低いという研究結果が報告された。米フロリダ大学のAmy Sheer氏らが、フロリダ州などの3州にある14の医療機関の電子カルテ情報を用いて検討したもので、詳細は6月6日付で「Journal of the American Heart Association(JAHA)」に掲載された。GLP-1RAは、2型糖尿病の血糖管理のほかに減量目的でも用いられている。肥満では、全身性の慢性炎症や血管内皮機能の低下により血栓が形成されやすいことが知られていて、また自己免疫疾患も炎症反応を強めるために、肥満を伴う自己免疫疾患患者では、心血管イベントや血栓イベントのリスクが高いと考えられている。Sheer氏らは、2014~2024年の電子カルテデータから、自己免疫疾患と肥満のある18歳以上の成人患者を抽出。背景因子を傾向スコアでマッチングさせ、GLP-1RAが処方されていた患者と処方されていない患者、各群1万3,204人のデータセットを作成し、全死亡や心血管・血栓イベントのリスクを比較した。解析対象者全体の平均年齢は54.7±14.5歳、女性73.4%で、BMIは37だった。解析の結果、GLP-1RAの処方は、全死亡リスクが44%低いことと関連していた(ハザード比〔HR〕0.56〔95%信頼区間0.47~0.66〕)。また、脳卒中・一過性脳虚血発作(HR0.87〔同0.76~0.99〕)、肺塞栓症(HR0.69〔0.56~0.86〕)、静脈血栓塞栓症(HR0.83〔0.72~0.95〕)、救急外来受診(HR0.79〔0.75~0.83〕)のリスクも有意に低かった。一方、心筋梗塞リスクについては有意な低下は認められなかった。この結果について、米マサチューセッツ総合病院のFatima Cody Stanford氏は、「肥満と自己免疫疾患を併発している患者において、全死因リスクが44%減少したという結果は注目すべき発見だ」と述べている。米国心臓協会(AHA)ライフスタイル・心血管代謝評議会の一員でもある同氏は、「肥満の専門医・研究者として普段から複雑な炎症性疾患を抱える患者を診察している立場からすると、今回の研究結果はわれわれが抱いていた臨床疑問と期待に答えるものだ。つまり、GLP-1RAのメリットは血糖コントロールや体重減少にとどまらず、最もリスクの高い自己免疫疾患患者の一部において、疾患の経過そのものを変える可能性があるということだ」と話している。研究者らは、この結果について、「GLP-1RAは免疫系を調節し、血液凝固能を抑制することが知られている。今回の研究結果はそのような作用によって説明できるのではないか」と述べている。またSheer氏は、「既存の自己免疫疾患治療薬とGLP-1RAの併用効果に期待される。過体重や肥満を伴う自己免疫疾患患者にとって本研究は、処方薬が心血管疾患のリスク軽減にもつながっている可能性を示す、希望の兆しとも言えるのではないか」としている。(HealthDay News 2026年6月17日) https://www.healthday.com/health-news/cardiovascular-diseases/lower-risk-of-death-clots-among-autoimmune-patients-taking-glp-1-drugs Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock (参考情報)Abstract/Full Texthttps://www.ahajournals.org/doi/10.1161/JAHA.125.047893 Press Releasehttps://newsroom.heart.org/news/glp-1-based-meds-linked-to-fewer-heart-events-in-adults-with-obesity-autoimmune-disease