GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)の使用が、視覚障害につながるまれな眼疾患の発症リスク上昇と関連する可能性があるとする研究結果が報告された。米ラトガース大学のChintan Dave氏らの研究によるもので、詳細は「Annals of Internal Medicine」に7月14日付で掲載された。ただし、この病気を発症する絶対リスクは非常に低いという。この研究では、虚血性視神経症(ION)という眼の病気に焦点が当てられた。IONは、網膜で受け取った情報を脳へ送る「視神経」に虚血(血流の不足)が生じる病気で、視野が欠けたり視力が低下したりすることがある。近年、GLP-1RAとIONとの関連について関心が高まっているが、これまで十分なデータは得られていなかった。Dave氏らは、米国の大規模医療保険請求データベースを用い、実際の臨床試験に近い条件を再現する解析手法(標的試験エミュレーション)で検討した。18~65歳までの2型糖尿病患者のうち、GLP-1RAまたはSGLT2阻害薬(SGLT2i)、DPP4阻害薬(DPP-4i)の処方が開始された患者を解析対象とした。結果に影響を及ぼし得る80項目以上の交絡因子を統計学的に調整して、処方開始から18カ月間のIONの発症リスクを比較した。SGLT2iとの比較では、1万人当たりのION発症率がGLP-1RA群では8.5、SGLT2i群では5.5だった(リスク差〔RD〕3.0〔95%信頼区間0.4~5.7〕)。DPP-4iとの比較では、GLP-1RA群7.8、DPP-4i群4.2だった(RD3.6〔同1.1~6.1〕)。つまり、GLP-1RAの処方が、わずかなION発症リスク上昇に関連している可能性が見られた。とはいえ、1万人当たりわずか数人のリスク差であった。この報告は医療界の関心を集めているが、研究者らは、「患者個々の実際のリスクは非常に低い」と強調。また、「リスクは薬剤の直接的な影響というよりも、解析対象者(全員が2型糖尿病患者)の特徴を反映している可能性もある」とし、因果関係の究明にさらなる研究が必要としている。論文の筆頭著者であるDave氏は、「IONはまれな病気ではあるが突然の視力喪失を引き起こすことがあるため臨床的に重要だ。リスクの上昇はわずかだが、この潜在的な関連性について、医師は患者とともに認識しておくべき」と述べている。IONの症状は通常、完全な失明ではなく、片方の眼の視野がぼやけたり欠けたりするといった症状が多い。発症後数カ月たつとわずかに改善する患者もいるが、多くの場合、視力や視野の障害は永続的なものになる。本研究では、男性、50歳以上、心血管疾患や眼疾患がある人で、GLP-1RA使用者と比較薬使用者とのIONリスク差が大きい傾向がみられた。Dave氏はGLP-1RAの使用に関して、「IONのリスクが高い患者の症状の早期発見と迅速な眼科的評価が、特に重要ではないか」と語っている。(HealthDay News 2026年7月20日) https://www.healthday.com/health-news/eye-care/study-links-glp-1-medications-to-rare-vision-issue Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock