肥満症に対してGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)であるセマグルチドによる治療を開始後、しばらくすると食欲が元に戻ったように感じることがあるが、少なくとも60週間は、実際の摂取エネルギー量が有意に少ない状態が維持されることが分かった。米ペンシルベニア大学のJena Tronieri氏らが行ったプラセボ対照二重盲検比較試験(RCT)の結果であり、詳細は「The American Journal of Clinical Nutrition」8月号に掲載された。セマグルチドによる食欲抑制、摂取エネルギー量低下、体重減少効果は、主として介入期間が20週間ほどの研究で示されてきており、より長期間介入した場合のそれらの変化については不明点が残されている。食欲については、いったん低下した後、長期投与で再び増加する可能性を示唆する報告も見られる。これらを背景にTronieri氏らは、介入期間が60週間に及ぶRCTを実施した。BMI30以上で18~70歳の成人、またはBMI27以上で肥満関連疾患を有する成人、計120人(平均年齢45.7±12.0歳、女性78.3%、BMI37.5±5.9)を3:2の割合で無作為に割り付け、72人にはセマグルチド2.4 mg、48人にはプラセボを投与。ベースライン(0週)、20週、40週、60週の時点で食欲や、食べ物に対する反応性などを評価した。食欲については、前夜から12時間絶食した空腹時にビジュアルアナログスケールを用いて計測した。その計測後、550 kcalの標準化された朝食を摂取してもらい、その4時間後に昼食を支給。昼食は本人が満足するまで自由に摂食可とし、摂取エネルギー量を測定した。解析の結果、空腹時の食欲は、20週時点においてはセマグルチド群の方がプラセボ群より有意に低かったが(P=0.0044)、40週および60週時点では有意差が消失していた。また、食べ物への反応性も、20週時点(P=0.0203)と40週時点(P=0.0060)においては、セマグルチド群の方が低く有意差が認められたが、60週時点では有意差が消失していた。一方、昼食の摂取エネルギー量に関しては、介入後のいずれの時点でもセマグルチド群の方が有意に低く、20週では291.9±64.4 kcal(P=0.0004)、40週では240.2±87.8 kcal(P=0.0235)、60週では269.5±83.6 kcal(P=0.0076)の差があり、セマグルチド群が24~30%少なかった。体重の変化についても全ての時点で有意差が認められ、60週時点ではセマグルチド群がベースラインから-15.1±1.3%、プラセボ群は-3.4±1.8%の変化だった(P<0.0001)。論文の筆頭著者であるTronieri氏は、「減量目的でセマグルチドの処方を受ける患者の中には、数カ月たつと食欲が戻ってきたことに気づき、薬の効果がなくなったのではないかと心配する。しかしわれわれの研究結果は、たとえ食欲が戻ったと感じたとしても、同薬が引き続き食べる量を抑制していることを示している。この持続的な摂取エネルギー量の抑制が、長期にわたって減量効果が維持される主な理由であると考えられる」と述べている。 なお、本研究の一部は、ノボ ノルディスク社の研究助成による支援を受けて実施された。(HealthDay News 2026年7月24日) https://www.healthday.com/health-news/weight-loss/ozempic-cuts-down-calorie-intake-for-at-least-a-year-even-if-hunger-returns-trial-finds Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock (参考情報)Abstract/Full Texthttps://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0002916526002121 Press Releasehttps://www.pennmedicine.org/news/semaglutide-still-has-benefits-after-one-year