自閉症スペクトラム症(ASD)の子どもは運動能力の課題を抱えていることが少なくないが、組織的なスポーツ、特に武道や水中トレーニングによって、運動能力が向上する可能性が報告された。米オールド・ドミニオン大学のSonia Khurana氏らが行ったシステマティックレビューの結果であり、詳細は「Developmental Medicine & Child Neurology」に7月22日付で掲載された。ASDの診断基準に、運動能力に関する項目は含まれていない。しかし、最近報告されたメタ解析から、ASDの子どもの50~88%が、バランス感覚、手と目の協調性、微細運動の制御、手先の器用さなどに、何らかの困難を抱えていると推定されている。これらの困難は日常生活に影響を与えたり、社会参加または仲間や介護者との交流の妨げとなったり、遊んでいる最中に感じる不安を増大させたりする可能性がある。ASDの子どもの運動能力の障害と社会的な障害の関連性を示唆する報告があり、一方では近年、身体活動介入の有用性を示唆する報告も増えている。特に、競技上のルールが定められていて、グループでのトレーニングが行われることの多い組織的なスポーツは、運動能力の向上とともに社会性の醸成にもつながると考えられる。これらを背景としてKhurana氏らは、ASDの子どもの運動能力に対する組織的なスポーツの有用性を、システマティックレビューで検討した。PubMedやWeb of Scienceなどの文献データベースを、それぞれの収載開始時から2025年11月まで検索し、ASDの子どもに対して組織的なスポーツ介入を実施した研究を抽出した。ランダム化比較試験6件、非ランダム化比較試験5件、計11件の研究を抽出した。イランからの報告が3件、ポルトガルから2件、米国や中国、台湾、オーストラリア、スイス、スペインから各1件であり、研究参加者の平均年齢は4~13歳で、参加者数は14~56人だった。介入に用いられたスポーツは、武道、体操とトランポリン、水中トレーニング、その他などに分類された。解析の結果、武道はバランス感覚、全体的な運動能力、物体操作能力を一貫して改善し、特に太極拳や武道の型(Kata)で顕著な効果が認められた。水中トレーニングでも、バランス感覚、移動能力、物体操作能力に大きな改善が認められた。体操とトランポリンは、バランス感覚と両側協調性を向上させ、卓球は粗大運動能力を向上させた。解析対象とした全ての介入カテゴリーで、最も一貫して改善した運動領域は、バランス感覚だった。論文の責任著者であるKhurana氏は、「組織的なスポーツを基盤とした介入は、ASDの子どもたちの運動能力の発達をサポートする。そのことにより、レクリエーション上の効果にとどまらないメリットをもたらす可能性がある」と述べている。ただし研究チームは、「これらの効果を確認し、エビデンスに基づいた推奨事項を策定するためには、より大規模で質の高い研究が必要」としている。(HealthDay News 2026年7月23日) https://www.healthday.com/health-news/neurology/organized-sports-help-enhance-motor-skills-in-children-with-autism Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock (参考情報)Abstract/Full Texthttps://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/dmcn.70385