タバコのリスクに関する過去数十年にわたる啓発活動にもかかわらず、多くの喫煙者が喫煙や受動喫煙が心臓発作や脳卒中を引き起こすという事実をまだ十分認識していないことが、46カ国で行われた調査から明らかになった。ウォータールー大学(カナダ)と米疾病対策センター(CDC)タバコ規制プログラムの研究者による研究の結果であり、同大学のJanet Chung-Hall氏らによる論文が、「BMJ Open」に8月4日付で掲載された。この研究では、2002~2022年の国際タバコ規制プロジェクト(ITC)と、2008~2020年の世界成人タバコ調査(GATS)のデータを用い、46カ国の18歳以上の喫煙者において、喫煙と受動喫煙が肺がんや心血管疾患(CVD)の原因になるという認識が、過去約20年間でどのように変化してきたかが解析された。なお、前者のITCは26カ国が参加した縦断的コホート研究、後者のGATSは32カ国が参加した反復横断調査である。解析の結果、喫煙が肺がんの原因となることは9割以上の喫煙者が認識していた(ITCは92.2%、GATSは91.9%)。しかし、心臓病や心臓発作、脳卒中については、それよりも認識している人が少なかった。具体的には、心臓病や心臓発作についてはITCで84.7%、GATSでは80.0%という数値が示され、脳卒中はITCで75.0%、GATSでは66.1%であった。また、受動喫煙が肺がんの原因となることを認識していたのは、ITCで77.3%、GATSで82.1%、受動喫煙と心臓病や心臓発作の関連についてはITCで61.8%、GATSでは72.5%であった。さらに、過去約20年間にわたり、これらの数値がほとんど改善していないことも明らかになった。インドやバングラデシュ、ベトナム、タイなどの一部の国では、喫煙と受動喫煙に伴うCVDリスクに関する認識が向上していたものの、日本、米国、英国、カナダ、ニュージーランドなど、高所得国の大半では、受動喫煙によるCVDリスクに関する認識が低下していた。論文の筆頭著者であるChung-Hall氏は、「世界中で毎年200万人以上が喫煙に起因するCVDのために死亡していることを考えると、喫煙や受動喫煙によるCVDへの悪影響に対する認識の低さは、特に憂慮すべき事態だ」と解説。「これらのリスクに対する喫煙者の意識を高めることを、公衆衛生上の優先事項として位置付けなければならない」と指摘している。また、論文の共著者の1人である同大学のGeoffrey Fong氏も、「知識を身に付けることが、禁煙および受動喫煙から他者を守る上で、重要な第一歩となる。今回の研究結果は、喫煙や受動喫煙によるCVDやがんのリスクについて、政府がより強力かつ継続的な啓発活動を行う必要性を浮き彫りにしている」と強調。加えて同氏は、「大きな画像入り警告表示の義務付けや、継続的なメディアキャンペーンといった政策には、人々の意識を高め、喫煙者の禁煙を促し、若年者が喫煙を始めるのを思いとどまらせる効果がある」と話している。(HealthDay News 2026年8月17日) https://www.healthday.com/health-news/cardiovascular-diseases/many-smokers-unaware-of-heart-brain-risks-of-smoking Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock (参考情報)Abstract/Full Texthttps://bmjopen.bmj.com/content/16/8/e107667 Press Releasehttps://uwaterloo.ca/news/arts/smokers-still-largely-unaware-heart-disease-risks