GIP/GLP-1受容体作動薬であるチルゼパチドが、過体重または肥満のある2型糖尿病患者の心筋梗塞や全死亡(あらゆる原因による死亡)などのリスクと関連することを示唆するデータが報告された。ミュンヘン工科大学病院(ドイツ)のNils Krüger氏らの研究によるもので、詳細は「The BMJ」に8月5日付で掲載された。この研究では、米国の2件の全国的な医療費請求データベースから、2022年5月~2025年5月のデータが解析に用いられた。過体重または肥満(BMI25以上)、2型糖尿病、および既存の動脈硬化性心血管疾患を有する40歳以上の成人5万2,971人のうち、3万5,353人はチルゼパチドによる治療が開始され、1万7,618人はDPP-4阻害薬のシタグリプチンで治療が開始されていた。1年間の追跡期間中の主要心血管イベント(MACE〔心筋梗塞、脳卒中、全死亡の複合エンドポイントと定義〕)の発生率は、チルゼパチド群で2.9%(95%信頼区間2.5~3.4)、シタグリプチン群4.4%(同3.8~4.9)で、リスク差-1.4%(-2.1~-0.7)であり、チルゼパチド群のリスクの方が32%低かった(ハザード比〔HR〕0.68〔0.58~0.80〕)。これは、70人をチルゼパチドで治療した場合、1件のMACEを回避できる計算になる。MACEの構成因子を個別に見ると、心筋梗塞(HR0.67〔0.52~0.87〕)と、全死亡(HR0.55〔0.42~0.72〕)はチルゼパチドによる有意なリスク低下が認められたが、虚血性脳卒中については有意差が認められなかった(HR0.91〔0.64~1.28〕)。これは、130人をチルゼパチドで治療した場合、1件の心筋梗塞を、122人を治療した場合、1件の全死亡を回避できる計算になる。探索的に安全性アウトカムとして検討された、入院を要する感染症の発症(HR0.64〔0.55~0.75〕)や、感染症関連死(HR0.40〔0.26~0.61〕)についても、チルゼパチド群が有意に低リスクであった。これは、48人をチルゼパチドで治療した場合、1件の入院を要する感染症を、200人を治療した場合、1件の感染症関連死を回避できる計算になる。論文の筆頭著者であるKrüger氏は、「感染症に関するデータは非常にインパクトがあり、われわれは驚いた」と述べている。同氏によると、過去の研究から、GLP-1受容体作動薬で治療を受けた人は、感染症による入院や感染症による死亡のリスクが低い可能性が示唆されていたという。しかし、なぜそのようなメリットが得られるのかは、まだ完全には解明されていないとのことだ。Krüger氏は、「肥満は体内の炎症プロセスを促進し、それが免疫機能を損なう可能性が報告されている。しかし、その詳細なメカニズムや、こうした効果が減量を伴わない場合にも生じるのかどうかについては今後の研究が待たれる」と付け加えている。(HealthDay News 2026年8月10日) https://www.healthday.com/health-news/diabetes/zepbound-lowers-heart-attack-stroke-risk-among-type-2-diabetics Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock (参考情報)Abstract/Full Texthttps://www.bmj.com/content/394/bmj-2026-100011 Press Releasehttps://bmjgroup.com/glp-1-drug-linked-to-heart-benefits-for-high-risk-patients/ https://www.tum.de/aktuelles/alle-meldungen/pressemitteilungen/details/adipositas-medikament-senkt-risiko-fuer-gefaehrliche-herz-kreislauf-erkrankungen-und-infektionen-deutlich