心房細動患者では、たとえ少ない身体活動量でも脳卒中や死亡リスクが低下する可能性を示唆する研究結果が報告された。ノルウェー北極大学(トロムソ大学)のKristoffer Johansen氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the American Heart Association(JAHA)」に8月5日付で掲載された。心房細動は不整脈の一種で、脳卒中のリスクを高める。米国では推定1050万人の成人が心房細動に罹患しているとされている。一方、一般住民の脳卒中リスクは、習慣的な身体活動量が多いほど低いことが知られている。しかし、心房細動患者の脳卒中リスクと身体活動量との関連はこれまで十分研究されておらず、また心房細動患者はそうでない人に比べて身体活動量が少ないという報告がある。以上を背景としてJohansen氏らは、ノルウェーにおける2件の疫学研究データを用いた検討を行った。解析対象者は8万7,340人で、そのうち6,539人が心房細動患者だった。身体活動量に関する質問票の回答を基に、身体活動をしていない群(非活動群〔17.5%〕)、軽い身体活動を行っている群(低活動群〔37.5%〕)、中活動群(23.5%)、高活動群(21.5%)という4群に分類し、中央値13.5年にわたり追跡した。追跡期間中に、3,415件の脳卒中発症と7,833件の死亡が記録されていた。結果に影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、BMI、喫煙・飲酒習慣、教育歴、冠動脈疾患の既往など)を調整後、非活動群に比べ、たとえ軽強度であっても身体活動を行っている群では、心房細動の有無にかかわらず、脳卒中発症や全死亡(あらゆる原因による死亡)のリスクが有意に低いことが示された。例えば、全体解析において低活動群の脳卒中リスクは非活動群に比べて9%低く(リスク比〔RR〕0.91〔95%信頼区間0.84~0.99〕)、全死亡リスクは11%低かった(RR 0.89〔同0.86~0.93〕)。高活動群では、脳卒中がRR 0.82(0.74~0.92)、全死亡がRR 0.78(0.73~0.82)だった。心房細動患者においても、低活動群の脳卒中リスクは非活動群に比べて20%低く(RR 0.80〔0.67~0.95〕)、全死亡リスクは9%低かった(RR 0.91〔0.87~0.96〕)。また心房細動患者においては、身体活動と平均余命の長さとの関連が観察された。具体的には、非活動群と比べた平均余命の差は、低活動群で0.50年(0.22~0.78)、中活動群で0.66年(0.31~1.01)、高活動群で1.15年(0.77~1.53)だった。論文の筆頭著者であるJohansen氏は、「運動による健康効果は、運動を開始する時期にかかわりなく得られる。少しであっても運動をすることは、何もしないよりもはるかに良い。今回の研究結果が一つの契機となり、たとえ軽度の運動であってもメリットを得られるという認識が、臨床医や心房細動の患者の間で高まることを願っている」と述べている。(HealthDay News 2026年8月10日) https://www.healthday.com/health-news/cardiovascular-diseases/even-light-exercise-may-lower-stroke-risk-for-people-with-a-fib Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock (参考情報)Abstract/Full Texthttps://www.ahajournals.org/doi/10.1161/JAHA.126.048812