孤独は健康に悪影響を及ぼすことが知られているが、孤独の問題を医療だけで解決することはできないとする、米ミシガン大学のSofia Hiltner氏による論文が、「Social Problems」に6月8日付で掲載された。Hiltner氏は、社会的なつながりの欠如が健康に大きな悪影響を及ぼすことが、これまでの研究で示されていると指摘している。ある研究では、社会的なつながりの欠如による影響は、1日にたばこを15本吸うことに匹敵し、早期死亡リスクを約30%増加させると報告されていた。一方、孤独が健康上のリスクであるとの認識が広がったことで、本来は医学だけでは解決できない問題を、医学の力で解決しようとする動きが生じているという。「健康に関わる全ての事柄が医療分野に属するわけではない。医師は患者を診察し、必要な治療につなげることはできるが、地域社会を再建したり、労働時間を短縮したりすることはできない」とHiltner氏は語っている。現在、同大学の博士課程に在籍する同氏は、祖母が晩年に孤立を深めていく様子を見て、この領域を研究する必要性を感じたという。Hiltner氏は今回の研究のきっかけについて、「祖父が亡くなった後、祖母は一人暮らしになり、生活の規律を失っていった。友人も少なく、趣味などもあまりなかったようだ。彼女の人生で起こったあらゆる出来事を想像し、それらがどのようにして、あのような状況につながっていったのかを考えた。そして、身近な人間がどのように接し、どのような社会政策があれば、そのような状況を防ぐことができたのだろうかと疑問を感じた」と語っている。Hiltner氏は、専門家へのインタビューを行うとともに、過去10年以上にわたるメディア報道、学術論文、学術誌の記事を分析した。これらの調査から、慢性的な孤独感や社会的孤立が病気や死亡のリスク上昇と関連するとの研究結果が報告されたことをきっかけに、孤独が公衆衛生上の懸念事項として注目を集めるようになったことが分かった。しかし、こうした変化は、同氏が「論理的飛躍」と呼ぶ現象も生み出した。孤独が健康と関連しているのであれば、医療制度が解決策を見つけてくれるはずだと、人々が考えるようになったという。「孤独を医療の対象として位置付けることで、この問題への医学以外の対応策の模索が阻害されるリスクがある」と同氏は解説している。実際、Hiltner氏の調査では、医療関係者は当初、孤独を医療の問題とはみなしていなかったことが示唆された。一方、学術研究者、保健関連の行政機関、保険会社などによって、孤独を医学的疾患として位置付ける流れが形成されたように見受けられるという。Hiltner氏は政策立案者に対し、孤独という概念の捉え方を見直し、医学に頼るのではなく、社会的孤立を軽減するための公的・政治的な手段を推進する必要があると強調している。「医療制度を通じて孤独に対処することの長所と短所について熟考するとともに、健康障害がどのように発生するのかを理解するために、より上流に目を向け、実際に問題が起きる前に介入する方法を検討してほしい。医療は有用である。しかし、限界がある」と同氏は述べている。(HealthDay News 2026年8月18日) https://www.healthday.com/health-news/mental-health/loneliness-is-a-health-crisis-but-doctors-alone-cant-cure-it-analysis-argues Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock (参考情報)Abstract/Full Texthttps://academic.oup.com/socpro/advance-article-abstract/doi/10.1093/socpro/spag034/8703869 Press Releasehttps://news.umich.edu/loneliness-is-making-people-sick-doctors-cant-cure-it-alone/