1型糖尿病(T1DM)の患者でも、糖尿病のないランナーと同等のタイムで安全にマラソンを完走できるとする研究結果が、第62回欧州糖尿病学会(EASD2026、9月28日~10月2日、イタリア・ミラノ)で報告される。10人のT1DM患者が2025年にポーランドのポズナンで行われたマラソン大会に参加し、競技中に2回の低血糖を経験した1人を含め、全員がゴールしたという。この研究は、ポズナン医科大学(ポーランド)のMichał Kulecki氏らによるもの。同氏らによると、「T1DM患者にとって低血糖の恐怖は身体活動の主要な障壁であり、習慣的な運動に健康上の大きなメリットがあるにもかかわらず、最大45%のT1DM患者が運動する際に低血糖への不安を抱えている」という。そして、「今回の研究結果はT1DMであっても、適切な指導と十分な血糖管理によって、非常に負荷の高い持久系運動であるマラソンの大会に参加し、良好なタイムを記録し得ることを示している」と話している。なお、T1DMは体内でインスリンをほとんど、あるいは全く作ることができなくなる病気で、生存のためインスリン療法が欠かせない。この研究にはT1DMのランナーと糖尿病のないランナーが各10人参加した。両群ともに男性8人、女性2人で、年齢中央値はそれぞれ35.4歳、39.7歳で、有意差がなかった(p=0.39)。T1DM群の糖尿病罹病期間は16.5年、HbA1cは6.4%だった。インスリン投与の方法は、頻回注射(MDI)が5人、インスリンポンプ(CSII)が3人、インスリン投与量を自動調整するシステム(AID)が2人だった。研究者らはT1DMランナーに対して、レース前の目標血糖値を140~200 mg/dLの範囲とすること、競技中の基礎インスリン量は、MDIでは25%減、CSIIでは50%減とし、AIDでは目標血糖値を150 mg/dLとするように指示した。スタート時、10 km、19 km、30 km地点、およびゴール時において血糖値を測定し、必要に応じて炭水化物を摂取し、インスリンを投与した。完走タイムはT1DM群が227.9分、非糖尿病群は247.8分で、有意差がなかった(p=0.28)。T1DM群は競技中に1時間当たり53.5 gの炭水化物を摂取し、これは競技全体で見ると体重1 kg当たり2.61 gに相当した。競技中の血糖値は全体として低下傾向を示し、スタート時が183.5 mg/dL、10 km地点は119.5 mg/dL、19 kmは142.5 mg/dL、30 kmは121.5 mg/dL、ゴール時は108.5 mg/dLだった。1人のランナーでは、競技中に2回、低血糖が確認された。そのランナーはスタート時の血糖値が140 mg/dL未満であり、競技中の炭水化物摂取量がやや少なく、1時間当たり49.5 gだった。研究者らは、「T1DMでマラソン大会への参加を計画している人は、血糖管理目標、炭水化物摂取量、水分補給計画について、大会前に医師と相談すべき」と述べ、「最も重要なのは適切なインスリン投与戦略である」と付け加えている。なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。(HealthDay News 2026年9月22日) https://www.healthday.com/health-news/diabetes/marathons-safe-for-people-with-type-1-diabetes-study-says Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock