子どもの頃の体力と成人後のうつ病リスクとの関連を検討した研究結果が報告された。子どもの頃の心肺機能の高さは、成人後のうつ病リスクの低さと関連しているという。一方、子どもの頃の筋力や筋パワーについては、成人後のうつ病リスクとの有意な関連は認められなかったという。アデレード大学(オーストラリア)のGrant Tomkinson氏らによる論文が、「Journal of Affective Disorders」に8月13日付で掲載された。Tomkinson氏によると、「身体活動がメンタルヘルスに良いことはすでに知られており、これまでの研究で、体力の高い成人はうつ病リスクが低いことが示されている。しかし、子どもの頃の体力の高さが数十年後の良好なメンタルヘルスにつながるかどうかについては、まだほとんど分かっていない」という。そして、本研究の結果を基に、「子どもの頃の心肺機能の高さと、成人後のうつ病発症リスクの低さとの関連が示された。重要なのは、心肺機能は自分で高めることができるという点だ。心肺機能の向上が、長期的なメンタルヘルスの改善に向けた重要な目標になるかもしれない」と語っている。今回の研究では、1985年に体力テストを受けた7~15歳の子ども1,000人以上が追跡された。心肺機能は1.6km走の速度で、筋パワーは立ち幅跳びで評価された。また、一部の子どもでは、自転車エルゴメーターによる心肺機能の測定や、握力による筋力の評価も行われた。その後、平均32.5年の追跡期間を経て、対象者が36~49歳になった時点で、うつ病や気分変調症の生涯罹患歴が調査された。解析の結果、子どもの頃の心肺機能が高いほど、36~49歳までのうつ病リスクが17%低いという関係が示された(ハザード比〔HR〕0.83〔95%信頼区間0.70~0.98〕)。性別で解析すると、HRは女性で0.80(95%信頼区間0.65~0.99)、男性で0.89(同0.67~1.19)であり、女性では統計学的に有意な関連が認められた。一方、筋力や筋パワーに関しては、成人後のうつ病リスクとの統計学的に有意な関連は認められなかった。この結果を論文の上席著者であるタスマニア大学(オーストラリア)のBrooklyn Fraser氏は、「われわれの研究では、子どもの頃の体力の指標の中で、成人後のうつ病リスクと最も強く一貫した関連が見られたのは、心肺機能、つまり息切れするような運動を通して培われる体力だった」と総括している。また、論文の筆頭著者である同大学のKylie Smith氏は「今回の結果は、子どもの頃の健康状態が成人後のうつ病などのメンタルヘルスの問題とどのように関連するのか、さらに詳しく調べる必要性を浮き彫りにしている。うつ病の発症には多くの要因が関与しており、単一の要因だけで発症リスクを説明することはできない。体力はそのパズルのピースの一つかもしれない」と解説。さらに、「子どもの頃の運動不足が成人期のうつ病の原因になるとは断言できない。しかし、今回の研究結果は、子どもの頃の運動が、身体的な健康だけでなく、長期的なメンタルヘルスにも有益である可能性を示唆している」と付け加えている。(HealthDay News 2026年10月6日) https://www.healthday.com/health-news/exercise-and-fitness/fitter-kids-may-grow-into-less-depressed-adults Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock (参考情報)Abstract/Full Texthttps://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0165032726012255 Press Releasehttps://adelaide.edu.au/about/news/2026/fit-for-life--childhood-fitness-linked-to-lower-risk-of-adult-de/