米国で近年発生した麻疹流行に関する調査で、感染者の半数以上が予防接種を受けていなかったことが明らかにされた。その多くは宗教、信条などの非医学的理由によるものだったという。米国では2000年に麻疹根絶が宣言されたが、国外渡航者に起因して再流行が発生した。この報告は「Journal of the American Medical Association(JAMA)」3月15日号に掲載された。 麻疹や百日咳は感染力が強く、ワクチンを接種する人が減少すると集団免疫の効果がなくなり、ウイルスが拡散してしまう。付随論説を執筆した米ミシガン大学小児感染症学教授のMatthew Davis氏は、「ワクチンは人々を多くの疾患から守るための最も有効で安全な手段の1つだ」と述べている。. しかし、本研究を実施した米エモリー大学(アトランタ)感染症フェローのVarun Phadke氏によると、非医学的理由でのワクチン接種拒否はこの20年で着実に増えており、各州がワクチン免除の条件をもっと厳しくする必要があるという。2014年に麻疹流行が発生し111例の患者を出したカリフォルニア州では、非医学的理由によるワクチン免除を排除する法令が通過した。Phadke氏は他の州もこれに続くことを期待しており、「ワクチン拒否を減らす戦略が地域社会に重大な影響をもたらすと考えられる」と述べている。. 今回の研究では、麻疹に関する18件の既存研究をレビューした結果、計1,416症例のうち57%がワクチン未接種であることが判明した。このうち詳細なデータが得られた約1,000例のうち、600例弱はワクチン接種に適格であるにもかかわらず接種を受けておらず、71%は宗教や信条による理由から拒否していた。残りは医学的理由による未接種だった。. さらに、百日咳の流行に関する32件の報告をもとに1万600人以上の患者について調べた結果、特に大規模な5件の流行において、最大45%の患者がワクチンを接種していないか、追加接種を受けていなかった。しかし、いくつかの流行はワクチン接種率の高い集団で発生しており、これは免疫の減衰を示すものだとPhadke氏は指摘している。また、詳細なデータが得られた12件の流行のうち8件では、未接種患者の93%が意図的に予防接種を避けていることが判明した。. 「この傾向は憂慮すべきもので、麻疹の流行は続くだろう」とPhadke氏は話す。Davis氏は、「麻疹や百日咳の流行は、ワクチンの接種方法に改善の余地があることを教えてくれる」と述べ、小児だけでなく成人に対するワクチン接種も改善しなければ流行を防げないと付け加えている。(HealthDay News 2016年3月15日). http://consumer.healthday.com/kids-health-information-23/measles-news-464/measles-outbreaks-mostly-hurt-unvaccinated-kids-709013.html Copyright (c) 2016 HealthDay. All rights reserved.
米国で近年発生した麻疹流行に関する調査で、感染者の半数以上が予防接種を受けていなかったことが明らかにされた。その多くは宗教、信条などの非医学的理由によるものだったという。米国では2000年に麻疹根絶が宣言されたが、国外渡航者に起因して再流行が発生した。この報告は「Journal of the American Medical Association(JAMA)」3月15日号に掲載された。 麻疹や百日咳は感染力が強く、ワクチンを接種する人が減少すると集団免疫の効果がなくなり、ウイルスが拡散してしまう。付随論説を執筆した米ミシガン大学小児感染症学教授のMatthew Davis氏は、「ワクチンは人々を多くの疾患から守るための最も有効で安全な手段の1つだ」と述べている。. しかし、本研究を実施した米エモリー大学(アトランタ)感染症フェローのVarun Phadke氏によると、非医学的理由でのワクチン接種拒否はこの20年で着実に増えており、各州がワクチン免除の条件をもっと厳しくする必要があるという。2014年に麻疹流行が発生し111例の患者を出したカリフォルニア州では、非医学的理由によるワクチン免除を排除する法令が通過した。Phadke氏は他の州もこれに続くことを期待しており、「ワクチン拒否を減らす戦略が地域社会に重大な影響をもたらすと考えられる」と述べている。. 今回の研究では、麻疹に関する18件の既存研究をレビューした結果、計1,416症例のうち57%がワクチン未接種であることが判明した。このうち詳細なデータが得られた約1,000例のうち、600例弱はワクチン接種に適格であるにもかかわらず接種を受けておらず、71%は宗教や信条による理由から拒否していた。残りは医学的理由による未接種だった。. さらに、百日咳の流行に関する32件の報告をもとに1万600人以上の患者について調べた結果、特に大規模な5件の流行において、最大45%の患者がワクチンを接種していないか、追加接種を受けていなかった。しかし、いくつかの流行はワクチン接種率の高い集団で発生しており、これは免疫の減衰を示すものだとPhadke氏は指摘している。また、詳細なデータが得られた12件の流行のうち8件では、未接種患者の93%が意図的に予防接種を避けていることが判明した。. 「この傾向は憂慮すべきもので、麻疹の流行は続くだろう」とPhadke氏は話す。Davis氏は、「麻疹や百日咳の流行は、ワクチンの接種方法に改善の余地があることを教えてくれる」と述べ、小児だけでなく成人に対するワクチン接種も改善しなければ流行を防げないと付け加えている。(HealthDay News 2016年3月15日). http://consumer.healthday.com/kids-health-information-23/measles-news-464/measles-outbreaks-mostly-hurt-unvaccinated-kids-709013.html Copyright (c) 2016 HealthDay. All rights reserved.