音楽療法には、早産で生まれた新生児の呼吸数を安定させる効果があるという新たなレビュー結果が報告された。レビュー対象とした研究の大半では、音楽療法として母親が児に直接歌を歌って聞かせていたという(一部の研究では録音を使用した)。レビューを実施したノルウェー、グリーグ・アカデミー音楽療法研究センターのLucja Bieleninik氏は、「正期産児は出生時に母親の声を認識することができる。妊娠期間の最後の数カ月を子宮外で過ごす早産児の場合、この結びつきを育てることが重要である」と述べている。.米マウントサイナイ・ヘルスシステムのJoanne Loewy氏によると、「優れた音楽療法」の要件は、シンプルで予測できるリズム、周期的な休止、聞き慣れた母親の声であることだという。Loewy氏が実施した研究でも、新生児集中治療室(NICU)での生音楽(歌または演奏)が早産児の心拍と呼吸を安定させ、睡眠や「静かな覚醒(quiet alert)」を促すほか、歌っている親自身のストレスレベルも低下させることが示唆されている。今回の研究でも同様のパターンがみられ、音楽療法で親が歌うことにより、「早産児と親の両方に好ましい影響がある」と、Bieleninik氏は述べている。.今回の研究では、計1,000人弱の早産児を対象とする14件の臨床試験の結果を統合した。各試験の音楽療法は異なっていたが、多くの場合は母親による歌い聞かせが含まれており、いずれの試験も音楽療法士が関与していた。.全体として、音楽療法により乳児の呼吸数に明確な効果が認められた。また、音楽療法を受けた乳児はNICU内の他の早産児に比べて退院が3日早かったが、この差は統計学的に有意でなかった。.Loewy氏の研究も本研究のレビュー対象に含まれていた。Loewy氏は今回の知見について、単に録音された音楽を流すのとは異なる「真の音楽療法」に関する対照試験に基づくものであることが重要だと指摘している。Bieleninik氏もこの点に同意し、「早産児は神経が未発達であるため、不適切な感覚刺激を与えると害になることもある」と説明する。米国をはじめとするいくつかの国では、正式な音楽療法を提供するNICUの数が増えているという。しかし、音楽療法の長期的効果を調べた研究はほとんどなく、この点を補う必要があるとBieleninik氏は述べている。.乳児に音楽を聞かせたい親は、乳児を心臓の近くで肌が触れ合うように抱き、シンプルな子守唄を歌うのがよいとLoewy氏は助言する。親にとって意味のある歌がベストであり、伝統的な子守唄でなくても、好きな歌を穏やかで静かな子守唄風にアレンジすればよいという。この研究は「Pediatrics」9月号に掲載された。(HealthDay News 2016年8月25日).https://consumer.healthday.com/pregnancy-information-29/premature-birth-news-774/music-therapy-helps-preemie-babies-thrive-714192.html.Copyright (c) 2016 HealthDay. All rights reserved.
音楽療法には、早産で生まれた新生児の呼吸数を安定させる効果があるという新たなレビュー結果が報告された。レビュー対象とした研究の大半では、音楽療法として母親が児に直接歌を歌って聞かせていたという(一部の研究では録音を使用した)。レビューを実施したノルウェー、グリーグ・アカデミー音楽療法研究センターのLucja Bieleninik氏は、「正期産児は出生時に母親の声を認識することができる。妊娠期間の最後の数カ月を子宮外で過ごす早産児の場合、この結びつきを育てることが重要である」と述べている。.米マウントサイナイ・ヘルスシステムのJoanne Loewy氏によると、「優れた音楽療法」の要件は、シンプルで予測できるリズム、周期的な休止、聞き慣れた母親の声であることだという。Loewy氏が実施した研究でも、新生児集中治療室(NICU)での生音楽(歌または演奏)が早産児の心拍と呼吸を安定させ、睡眠や「静かな覚醒(quiet alert)」を促すほか、歌っている親自身のストレスレベルも低下させることが示唆されている。今回の研究でも同様のパターンがみられ、音楽療法で親が歌うことにより、「早産児と親の両方に好ましい影響がある」と、Bieleninik氏は述べている。.今回の研究では、計1,000人弱の早産児を対象とする14件の臨床試験の結果を統合した。各試験の音楽療法は異なっていたが、多くの場合は母親による歌い聞かせが含まれており、いずれの試験も音楽療法士が関与していた。.全体として、音楽療法により乳児の呼吸数に明確な効果が認められた。また、音楽療法を受けた乳児はNICU内の他の早産児に比べて退院が3日早かったが、この差は統計学的に有意でなかった。.Loewy氏の研究も本研究のレビュー対象に含まれていた。Loewy氏は今回の知見について、単に録音された音楽を流すのとは異なる「真の音楽療法」に関する対照試験に基づくものであることが重要だと指摘している。Bieleninik氏もこの点に同意し、「早産児は神経が未発達であるため、不適切な感覚刺激を与えると害になることもある」と説明する。米国をはじめとするいくつかの国では、正式な音楽療法を提供するNICUの数が増えているという。しかし、音楽療法の長期的効果を調べた研究はほとんどなく、この点を補う必要があるとBieleninik氏は述べている。.乳児に音楽を聞かせたい親は、乳児を心臓の近くで肌が触れ合うように抱き、シンプルな子守唄を歌うのがよいとLoewy氏は助言する。親にとって意味のある歌がベストであり、伝統的な子守唄でなくても、好きな歌を穏やかで静かな子守唄風にアレンジすればよいという。この研究は「Pediatrics」9月号に掲載された。(HealthDay News 2016年8月25日).https://consumer.healthday.com/pregnancy-information-29/premature-birth-news-774/music-therapy-helps-preemie-babies-thrive-714192.html.Copyright (c) 2016 HealthDay. All rights reserved.