肺炎の成人患者に対する抗菌薬の初回投与は、約4分の1の症例で無効となることが、新たな米国の研究で明らかにされた。こうした無効例では、抗菌薬の追加や変更、あるいは1カ月以内のER受診や入院を要したという。研究を率いた米カリフォルニアの研究機関LA BioMedのJames McKinnell氏は、「米国では肺炎が感染症による死亡原因の第1位となっているため、この結果は憂慮すべきものである」と述べ、「抗菌薬の追加は、耐性菌の出現やC.ディフィシル感染症などの合併症のリスクを上昇させる。この合併症は治療が難しく、特に高齢者では命にかかわることもある」と付け加えている。.今回の知見について、感染症の専門家である米レノックス・ヒル病院(ニューヨーク市)のBushra Mina氏は、「この結果は、地域における細菌耐性の変化に関連するものだと考えられる。また、肺炎の中には一定の割合でウイルスに起因するものがあり、その場合、抗菌薬は無駄である」とコメントしている。.本研究では、病院外で感染した(市中感染)肺炎の成人患者約25万2,000人の診療記録を検討した。対象患者は外来を受診し、単一クラスの抗菌薬(βラクタム系、マクロライド系、テトラサイクリン系、フルオロキノロン系のいずれか)を処方された。.その結果、患者の22.1%では、最初に処方された抗菌薬治療が奏効しなかったことが明らかになった。McKinnell氏らは、「われわれの得た知見から、市中肺炎の治療ガイドラインを更新する必要があることが示唆された」と述べている。.さらに、重要な危険因子の1つとして年齢が挙げられた。65歳超の患者では、若い患者に比べて入院リスクが約2倍に及んでいた。「高齢患者では治療に注意を要し、場合によっては積極的な抗菌薬治療が必要となることもある」と、同氏は指摘している。.しかし、2人の肺感染症の専門家が、この研究の問題点を指摘している。米クイニピアック大学(コネチカット州ハムデン)のHoward Selinger氏は、「本研究では肺炎の診断方法が明らかにされていない。医師が診察して抗菌薬が効くだろうと考えたにもかかわらず、実際にはウイルス性気管支炎などの抗菌薬が効かない疾患であったという例は多い。そのため、これらの抗菌薬に対する耐性率が25%であるというのは非常に疑わしい。対象患者の多くは当初はウイルス性疾患だったのではないか」と話す。.米ノースウェル・ヘルス・プレインビュー病院(ニューヨーク州)のAlan Mensch氏もこれに同意し、「この研究では細菌感染症を確定するための喀痰検査を受けた患者が少なすぎる」と指摘している。一方で、2007年に発行された現行の市中肺炎治療ガイドラインに更新が必要なのは確かであると、同氏は述べている。.この研究は5月19~24日に米ワシントンD.C.で開催された米国胸部学会の年次学術集会(ATS 2017)で21日に発表された。なお、学会発表された知見は査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなす必要がある。(HealthDay News 2017年5月21日).https://consumer.healthday.com/infectious-disease-information-21/pneumonia-news-536/first-try-antibiotics-now-fail-in-1-in-4-adult-pneumonia-cases-722761.html.Copyright © 2017 HealthDay. All rights reserved.
肺炎の成人患者に対する抗菌薬の初回投与は、約4分の1の症例で無効となることが、新たな米国の研究で明らかにされた。こうした無効例では、抗菌薬の追加や変更、あるいは1カ月以内のER受診や入院を要したという。研究を率いた米カリフォルニアの研究機関LA BioMedのJames McKinnell氏は、「米国では肺炎が感染症による死亡原因の第1位となっているため、この結果は憂慮すべきものである」と述べ、「抗菌薬の追加は、耐性菌の出現やC.ディフィシル感染症などの合併症のリスクを上昇させる。この合併症は治療が難しく、特に高齢者では命にかかわることもある」と付け加えている。.今回の知見について、感染症の専門家である米レノックス・ヒル病院(ニューヨーク市)のBushra Mina氏は、「この結果は、地域における細菌耐性の変化に関連するものだと考えられる。また、肺炎の中には一定の割合でウイルスに起因するものがあり、その場合、抗菌薬は無駄である」とコメントしている。.本研究では、病院外で感染した(市中感染)肺炎の成人患者約25万2,000人の診療記録を検討した。対象患者は外来を受診し、単一クラスの抗菌薬(βラクタム系、マクロライド系、テトラサイクリン系、フルオロキノロン系のいずれか)を処方された。.その結果、患者の22.1%では、最初に処方された抗菌薬治療が奏効しなかったことが明らかになった。McKinnell氏らは、「われわれの得た知見から、市中肺炎の治療ガイドラインを更新する必要があることが示唆された」と述べている。.さらに、重要な危険因子の1つとして年齢が挙げられた。65歳超の患者では、若い患者に比べて入院リスクが約2倍に及んでいた。「高齢患者では治療に注意を要し、場合によっては積極的な抗菌薬治療が必要となることもある」と、同氏は指摘している。.しかし、2人の肺感染症の専門家が、この研究の問題点を指摘している。米クイニピアック大学(コネチカット州ハムデン)のHoward Selinger氏は、「本研究では肺炎の診断方法が明らかにされていない。医師が診察して抗菌薬が効くだろうと考えたにもかかわらず、実際にはウイルス性気管支炎などの抗菌薬が効かない疾患であったという例は多い。そのため、これらの抗菌薬に対する耐性率が25%であるというのは非常に疑わしい。対象患者の多くは当初はウイルス性疾患だったのではないか」と話す。.米ノースウェル・ヘルス・プレインビュー病院(ニューヨーク州)のAlan Mensch氏もこれに同意し、「この研究では細菌感染症を確定するための喀痰検査を受けた患者が少なすぎる」と指摘している。一方で、2007年に発行された現行の市中肺炎治療ガイドラインに更新が必要なのは確かであると、同氏は述べている。.この研究は5月19~24日に米ワシントンD.C.で開催された米国胸部学会の年次学術集会(ATS 2017)で21日に発表された。なお、学会発表された知見は査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなす必要がある。(HealthDay News 2017年5月21日).https://consumer.healthday.com/infectious-disease-information-21/pneumonia-news-536/first-try-antibiotics-now-fail-in-1-in-4-adult-pneumonia-cases-722761.html.Copyright © 2017 HealthDay. All rights reserved.