抗菌作用を持つ化学物質であるトリクロサンやトリクロカルバンの使用を規制すべきだという声明を、世界29カ国の研究者や医師らのグループが「Environmental Health Perspectives」6月号に発表した。これらの抗菌成分は石けんや化粧品、歯みがき粉、一般家庭用品など、多数の「抗菌」をうたう製品に使用されているが、菌を死滅させる作用が不十分であり、健康を害する可能性もあるため、より厳格に使用を規制する必要があるとしている。米国食品医薬品局(FDA)は2016年、「安全性や有効性が確認できない」との理由で、トリクロサンやトリクロカルバンのほか、17種類の抗菌成分が含まれているハンドソープやボディソープの販売を禁じた。.しかし、現在でもトリクロサンはシャンプーから台所用品に至るまで多数の製品に使用されている。規制の対象外である衣類やクレジットカード、まな板、毛布、マットレス、バスタブ、家具、玩具などにも使用されている。.声明文に署名した米ワシントンD.C.の環境保護団体EWG(Environmental Working Group)のDavid Andrews氏は、「人々は長い間、抗菌製品は安全性と健康を向上させるものだと信じるように仕向けられてきた。しかし、実際にはそうではないことを示すエビデンスがある」と話す。.FDAによると、エビデンスの大部分は動物研究で得られたものだ。これまでの研究で、トリクロサンは甲状腺ホルモンの値を低下させるほか、抗菌薬が効かない薬剤耐性菌の発生につながり、皮膚がんのリスクを上昇させる可能性が示されている。.今回の声明は、これらの抗菌成分を含有する製品には必ずラベル表示をすることを求めており、FDAと米国環境保護庁に対しては、これらの成分の不必要な使用を規制するよう要求している。声明によると、健康へのベネフィットが得られることが明らかになっている場合(感染症の治療のために医師が処方した場合など)に限って抗菌薬を使用すべきだという。.一方、この声明に対して、米国洗浄剤協会(ACI)のBrian Sansoni氏は「トリクロサンやトリクロカルバンに関する懸念は既に知られている。この声明は最新の科学研究や規制の状況を反映していない」と指摘。同氏によると、抗菌石けんのメーカーは2016年のFDAの規制発表よりも前から抗菌成分の見直しを進めており、他の抗菌成分を使用するとともに、FDAの求める安全性と有効性に関する最新の科学的データを提出しているという。.「抗菌石けんは毎日、家庭や病院、オフィス、学校、保育施設、多くの商業施設で使用されており、感染症の拡大防止に役立っている。消費者は安心して使用してよい」と、同氏は付け加えている。.一方FDAは、トリクロサン含有の歯みがき粉による歯肉炎の管理など、一定のベネフィットがあることは認めているが、トリクロサンを含有する石けんに普通の石けんを上回る抗菌作用があるというエビデンスはなく、トリクロサンによって消毒作用が向上することが証明されているわけではないと述べている。(HealthDay News 2017年6月20日).https://consumer.healthday.com/public-health-information-30/misc-safety-and-public-health-news-586/group-urges-tougher-limits-on-chemical-in-shampoos-cosmetics-723858.html.Copyright © 2017 HealthDay. All rights reserved.
抗菌作用を持つ化学物質であるトリクロサンやトリクロカルバンの使用を規制すべきだという声明を、世界29カ国の研究者や医師らのグループが「Environmental Health Perspectives」6月号に発表した。これらの抗菌成分は石けんや化粧品、歯みがき粉、一般家庭用品など、多数の「抗菌」をうたう製品に使用されているが、菌を死滅させる作用が不十分であり、健康を害する可能性もあるため、より厳格に使用を規制する必要があるとしている。米国食品医薬品局(FDA)は2016年、「安全性や有効性が確認できない」との理由で、トリクロサンやトリクロカルバンのほか、17種類の抗菌成分が含まれているハンドソープやボディソープの販売を禁じた。.しかし、現在でもトリクロサンはシャンプーから台所用品に至るまで多数の製品に使用されている。規制の対象外である衣類やクレジットカード、まな板、毛布、マットレス、バスタブ、家具、玩具などにも使用されている。.声明文に署名した米ワシントンD.C.の環境保護団体EWG(Environmental Working Group)のDavid Andrews氏は、「人々は長い間、抗菌製品は安全性と健康を向上させるものだと信じるように仕向けられてきた。しかし、実際にはそうではないことを示すエビデンスがある」と話す。.FDAによると、エビデンスの大部分は動物研究で得られたものだ。これまでの研究で、トリクロサンは甲状腺ホルモンの値を低下させるほか、抗菌薬が効かない薬剤耐性菌の発生につながり、皮膚がんのリスクを上昇させる可能性が示されている。.今回の声明は、これらの抗菌成分を含有する製品には必ずラベル表示をすることを求めており、FDAと米国環境保護庁に対しては、これらの成分の不必要な使用を規制するよう要求している。声明によると、健康へのベネフィットが得られることが明らかになっている場合(感染症の治療のために医師が処方した場合など)に限って抗菌薬を使用すべきだという。.一方、この声明に対して、米国洗浄剤協会(ACI)のBrian Sansoni氏は「トリクロサンやトリクロカルバンに関する懸念は既に知られている。この声明は最新の科学研究や規制の状況を反映していない」と指摘。同氏によると、抗菌石けんのメーカーは2016年のFDAの規制発表よりも前から抗菌成分の見直しを進めており、他の抗菌成分を使用するとともに、FDAの求める安全性と有効性に関する最新の科学的データを提出しているという。.「抗菌石けんは毎日、家庭や病院、オフィス、学校、保育施設、多くの商業施設で使用されており、感染症の拡大防止に役立っている。消費者は安心して使用してよい」と、同氏は付け加えている。.一方FDAは、トリクロサン含有の歯みがき粉による歯肉炎の管理など、一定のベネフィットがあることは認めているが、トリクロサンを含有する石けんに普通の石けんを上回る抗菌作用があるというエビデンスはなく、トリクロサンによって消毒作用が向上することが証明されているわけではないと述べている。(HealthDay News 2017年6月20日).https://consumer.healthday.com/public-health-information-30/misc-safety-and-public-health-news-586/group-urges-tougher-limits-on-chemical-in-shampoos-cosmetics-723858.html.Copyright © 2017 HealthDay. All rights reserved.