米国ではオピオイド系薬の乱用が広がり、社会的な問題になっている。その一方で、新たな問題となりつつあるのが向精神薬の一種であるベンゾジアゼピン系薬(BZ系薬)の過剰摂取だ。米スタンフォード大学医学部准教授のAnna Lembke氏らは、「New England Journal of Medicine」2月22日号に掲載された論文で、この10年間にBZ系薬の処方数が増加し、同薬の過剰摂取による死亡例が急増していることを指摘。「多くの医師がその危険性を十分に認識しないままBZ系薬を過剰に処方している」と警鐘を鳴らしている。BZ系薬は不安症や不眠症、てんかんなど、さまざまな疾患に対して処方されている。Lembke氏らによると、その処方数は1996年の約810万件から2013年には1350万件と67%も増加し、1回の処方で患者が手にするBZ系薬の量もこの間に約3倍に増えたことが分かっているという。.その結果、BZ系薬の依存症となり、過剰に摂取する人も増えた。同薬の過剰摂取が原因とみられる死亡者数は、1999年の1,135件から2015年には8,791件に増加した。.Lembke氏は「オピオイド系薬の場合もそうだが、多くの人がBZ系薬の良い面のみを過大評価し、リスクについては過小評価している」と指摘。さらに「BZ系薬はパニック障害の発作や重度の不眠症には有効だが、長期間にわたって毎日使用していると耐性や依存性が生じ、効果が得られなくなってしまう。場合によっては不安や不眠といった症状を悪化させる可能性もある」と説明している。.なお、Lembke氏らの論文によると、BZ系薬の過剰摂取による死亡例の多くは、同薬に加えてオピオイド系薬やアルコールといった他の物質を併用していた。また、BZ系薬とオピオイド系薬の併用は危険であるにもかかわらず、オピオイド系薬使用者のうちBZ系薬も併用している人の割合は、2001年の9%から2013年には17%と約2倍に上昇したことも報告されているという。.専門家の一人で米ザッカー・ヒルサイド病院物質乱用サービス部門のBruce Goldman氏は、「BZ系薬は他の薬剤やアルコールと併用した際に特に危険であることを認識しておくことが重要だ」と強調。また、「慢性の不安症に対しては、長期にわたるBZ系薬の使用よりも優れた治療法があるにもかかわらず、長年にわたって同薬に頼っている患者は少なくない」としている。.なお、Lembke氏はBZ系薬を使用する際には必要最小限にとどめておくべきだと話す。具体的には「週2~3回以内に抑えておくことが望ましく、それ以上の頻度で用いる場合は使用期間を2~4週間以内とすべきだ」としている。また、「毎日BZ系薬を使用せずにはいられない」「同程度の効果を得るために必要なBZ系薬の量が増える」「BZ系薬を手に入れるためにドクターショッピングをする」といった状況に陥った時は、依存症の危険信号とみなすべきだと同氏は指摘している。.さらにLembke氏は、BZ系薬についてもオピオイド系薬と同様に規制を強化すべきだと主張。例えば、処方箋を出す前に患者の処方データベースを確認したり、尿検査を実施したりすることを医療従事者に求めるなどの対策を講じることを提案している。ただし、BZ系薬を使用している人が急に使用を中止すると離脱症状が現れ、最悪の場合、死に至る可能性もあるため、「中止する際には医師の指示の下で徐々に使用量を減らすことが重要だ」と同氏は説明している。(HealthDay News 2018年2月22日).https://consumer.healthday.com/mental-health-information-25/addiction-news-6/xanax-valium-looking-like-america-s-next-drug-crisis-731359.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.
米国ではオピオイド系薬の乱用が広がり、社会的な問題になっている。その一方で、新たな問題となりつつあるのが向精神薬の一種であるベンゾジアゼピン系薬(BZ系薬)の過剰摂取だ。米スタンフォード大学医学部准教授のAnna Lembke氏らは、「New England Journal of Medicine」2月22日号に掲載された論文で、この10年間にBZ系薬の処方数が増加し、同薬の過剰摂取による死亡例が急増していることを指摘。「多くの医師がその危険性を十分に認識しないままBZ系薬を過剰に処方している」と警鐘を鳴らしている。BZ系薬は不安症や不眠症、てんかんなど、さまざまな疾患に対して処方されている。Lembke氏らによると、その処方数は1996年の約810万件から2013年には1350万件と67%も増加し、1回の処方で患者が手にするBZ系薬の量もこの間に約3倍に増えたことが分かっているという。.その結果、BZ系薬の依存症となり、過剰に摂取する人も増えた。同薬の過剰摂取が原因とみられる死亡者数は、1999年の1,135件から2015年には8,791件に増加した。.Lembke氏は「オピオイド系薬の場合もそうだが、多くの人がBZ系薬の良い面のみを過大評価し、リスクについては過小評価している」と指摘。さらに「BZ系薬はパニック障害の発作や重度の不眠症には有効だが、長期間にわたって毎日使用していると耐性や依存性が生じ、効果が得られなくなってしまう。場合によっては不安や不眠といった症状を悪化させる可能性もある」と説明している。.なお、Lembke氏らの論文によると、BZ系薬の過剰摂取による死亡例の多くは、同薬に加えてオピオイド系薬やアルコールといった他の物質を併用していた。また、BZ系薬とオピオイド系薬の併用は危険であるにもかかわらず、オピオイド系薬使用者のうちBZ系薬も併用している人の割合は、2001年の9%から2013年には17%と約2倍に上昇したことも報告されているという。.専門家の一人で米ザッカー・ヒルサイド病院物質乱用サービス部門のBruce Goldman氏は、「BZ系薬は他の薬剤やアルコールと併用した際に特に危険であることを認識しておくことが重要だ」と強調。また、「慢性の不安症に対しては、長期にわたるBZ系薬の使用よりも優れた治療法があるにもかかわらず、長年にわたって同薬に頼っている患者は少なくない」としている。.なお、Lembke氏はBZ系薬を使用する際には必要最小限にとどめておくべきだと話す。具体的には「週2~3回以内に抑えておくことが望ましく、それ以上の頻度で用いる場合は使用期間を2~4週間以内とすべきだ」としている。また、「毎日BZ系薬を使用せずにはいられない」「同程度の効果を得るために必要なBZ系薬の量が増える」「BZ系薬を手に入れるためにドクターショッピングをする」といった状況に陥った時は、依存症の危険信号とみなすべきだと同氏は指摘している。.さらにLembke氏は、BZ系薬についてもオピオイド系薬と同様に規制を強化すべきだと主張。例えば、処方箋を出す前に患者の処方データベースを確認したり、尿検査を実施したりすることを医療従事者に求めるなどの対策を講じることを提案している。ただし、BZ系薬を使用している人が急に使用を中止すると離脱症状が現れ、最悪の場合、死に至る可能性もあるため、「中止する際には医師の指示の下で徐々に使用量を減らすことが重要だ」と同氏は説明している。(HealthDay News 2018年2月22日).https://consumer.healthday.com/mental-health-information-25/addiction-news-6/xanax-valium-looking-like-america-s-next-drug-crisis-731359.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.