ピーナツアレルギーのある患者にピーナツパウダーを毎日、少量ずつ摂取させることで、危険なアレルギー反応を抑えることができたとする臨床試験の結果が、米国アレルギー・喘息・免疫学会(ACAAI 2018、11月15~19日、米シアトル)で発表され、論文が「New England Journal of Medicine」11月22日号に掲載された。研究グループの一員で、ACAAIの前会長を務めたStephen Tilles氏は「この臨床試験の結果から、ピーナツ成分を気づかずに摂取して引き起こされるアレルギー反応から子どもたちを守れる可能性が示された。この結果にわれわれは大きな期待を寄せている」と話している。.臨床試験では、4~55歳のピーナツアレルギー患者551人を対象に、3分の2をピーナツ由来のたんぱく質を含んだ粉末(AR101と呼ばれる開発中の経口免疫療法薬)を摂取する群に、残りの3分の1をプラセボを摂取する群にランダムに割り付けて約24週間治療を行った。なお、ピーナツ粉末の摂取は少量から開始し、1日当たり1粒に相当する維持量まで徐々に増やした。.その結果、9~12カ月間の治療後に、ピーナツ粉末を摂取した群では67.2%が1日当たりピーナツを2粒摂取できるようになり、約半数は1日当たり4粒も摂取できるようになっていた。一方で、プラセボ群では1日当たりピーナツを2粒摂取できるようになったのは4.0%に過ぎなかった。.Tilles氏とともに臨床試験に参画したACAAI食物アレルギー委員会副会長のJay Lieberman氏は「ピーナツ粉末の摂取量は最初から決められていたわけではなく、時間をかけて調整する必要がある。また、今回の研究結果はピーナツアレルギー患者が今後、好きな時にピーナツを食べられるようになることを示しているわけではない」と説明している。その上で「この治療法が画期的なものであるのは確かだ。来年後半には臨床導入されることを期待している」としている。.今回の臨床試験には関与していない米ノースウェル・ヘルスのアレルギー専門医であるPunita Ponda氏もLieberman氏の考えに同意した上で、「臨床試験で患者が摂取できたピーナツの用量を考慮すると、意図せず微量のピーナツ成分が混入していた場合のアレルギー反応であれば予防できる可能性がある。ピーナツアレルギーの患者には、ピーナツの混入を恐れて外出がままならない患者や、厳しく食事を制限せざるを得ない患者も多く、このことは患者の生活に大きな影響を与えるだろう」と話している。.現時点でピーナツアレルギーの治療法は確立していない。今後この新しい治療法が米食品医薬品局(FDA)に承認されれば、医師の処方に基づき治療を受けられるようになる。また、意図しないピーナツへの曝露から身を守るためには治療の継続が必要になるという。(HealthDay News 2018年11月18日).https://consumer.healthday.com/respiratory-and-allergy-information-2/food-allergy-news-16/new-treatment-could-be-breakthrough-against-peanut-allergy-739695.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.
ピーナツアレルギーのある患者にピーナツパウダーを毎日、少量ずつ摂取させることで、危険なアレルギー反応を抑えることができたとする臨床試験の結果が、米国アレルギー・喘息・免疫学会(ACAAI 2018、11月15~19日、米シアトル)で発表され、論文が「New England Journal of Medicine」11月22日号に掲載された。研究グループの一員で、ACAAIの前会長を務めたStephen Tilles氏は「この臨床試験の結果から、ピーナツ成分を気づかずに摂取して引き起こされるアレルギー反応から子どもたちを守れる可能性が示された。この結果にわれわれは大きな期待を寄せている」と話している。.臨床試験では、4~55歳のピーナツアレルギー患者551人を対象に、3分の2をピーナツ由来のたんぱく質を含んだ粉末(AR101と呼ばれる開発中の経口免疫療法薬)を摂取する群に、残りの3分の1をプラセボを摂取する群にランダムに割り付けて約24週間治療を行った。なお、ピーナツ粉末の摂取は少量から開始し、1日当たり1粒に相当する維持量まで徐々に増やした。.その結果、9~12カ月間の治療後に、ピーナツ粉末を摂取した群では67.2%が1日当たりピーナツを2粒摂取できるようになり、約半数は1日当たり4粒も摂取できるようになっていた。一方で、プラセボ群では1日当たりピーナツを2粒摂取できるようになったのは4.0%に過ぎなかった。.Tilles氏とともに臨床試験に参画したACAAI食物アレルギー委員会副会長のJay Lieberman氏は「ピーナツ粉末の摂取量は最初から決められていたわけではなく、時間をかけて調整する必要がある。また、今回の研究結果はピーナツアレルギー患者が今後、好きな時にピーナツを食べられるようになることを示しているわけではない」と説明している。その上で「この治療法が画期的なものであるのは確かだ。来年後半には臨床導入されることを期待している」としている。.今回の臨床試験には関与していない米ノースウェル・ヘルスのアレルギー専門医であるPunita Ponda氏もLieberman氏の考えに同意した上で、「臨床試験で患者が摂取できたピーナツの用量を考慮すると、意図せず微量のピーナツ成分が混入していた場合のアレルギー反応であれば予防できる可能性がある。ピーナツアレルギーの患者には、ピーナツの混入を恐れて外出がままならない患者や、厳しく食事を制限せざるを得ない患者も多く、このことは患者の生活に大きな影響を与えるだろう」と話している。.現時点でピーナツアレルギーの治療法は確立していない。今後この新しい治療法が米食品医薬品局(FDA)に承認されれば、医師の処方に基づき治療を受けられるようになる。また、意図しないピーナツへの曝露から身を守るためには治療の継続が必要になるという。(HealthDay News 2018年11月18日).https://consumer.healthday.com/respiratory-and-allergy-information-2/food-allergy-news-16/new-treatment-could-be-breakthrough-against-peanut-allergy-739695.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.