米国人の大腸がん罹患率は、49歳から50歳にかけて急激に上昇していることが、米テュレーン大学臨床准教授のJordan Karlitz氏らが行った研究で明らかになった。同氏は「この研究結果は、大腸がん検診の開始年齢を引き下げることを支持するものだ」と強調。また、一部の専門家らは「大腸がん検診に関する推奨内容に影響を与え得る研究結果だ」と述べている。研究の詳細は「JAMA Network Open」1月31日オンライン版に発表された。米国では、さまざまなガイドラインで、平均的なリスクを持つ成人は50歳から大腸がん検診を受けることが推奨されている。しかし、米国がん協会(ACS)は2018年に、若い世代の間で大腸がんが増加していることを踏まえ、大腸がん検診の開始年齢を45歳に引き下げる勧告を行った。一方、米国予防医学専門委員会(USPSTF)の勧告では、平均的なリスクの人であれば50歳からの検診開始を推奨している。.このように、大腸がん検診の開始年齢には、ガイドラインによってばらつきがある。そこで、Karlitz氏らは今回、全米人口の28%をカバーする18地域でのがん登録プログラムから2000~2015年のデータを用いて、30~60歳の男女における年齢別の大腸がん罹患率を調べた。.Karlitz氏によると、これまでの大腸がん罹患率に関する研究は、45~49歳、50~54歳といった年齢区分別のもので、今回、年齢別に調べることで米国人の罹患率の推移を把握しようとした。また、40歳代の人のほとんどは大腸がん検診を受けていないため、実際の罹患率は推計値よりも高い可能性が指摘されていた。.研究の結果、Karlitz氏らの予想通り、大腸がん罹患率は、49歳では10万人当たり35件だったのに対し50歳では51件と、46.1%も大幅に増加していたことが分かった。この結果について、同氏は「これほどまでに急激な上昇が見られるとは考えていなかった」と話している。また、50歳で診断された大腸がん患者の92.9%は浸潤がんであり、発症からある程度の時間が経過している可能性が高いことが示唆された。.一方、今回の研究には関与していない米マウントサイナイ・アイカーン医科大学外科腫瘍学准教授のUmut Sarpel氏は、「恐らく、50歳より前に罹患していたがんが多く発見されたことが、結果に影響したのではないか」との見方を示している。その上で、「この研究結果は、大腸がん検診の開始年齢を50歳未満に引き下げることを支持するものだ」と述べている。.統計によれば、米国の大腸がん患者のほとんどは50歳以降に診断されているが、若い世代の間で大腸がん罹患率は上昇傾向にあることが分かっている。例えば、ACSが主導した研究では、1990年代半ば以降、20~54歳の米国人の大腸がん罹患率は年々、上昇傾向にあることが示されているという。.Karlitz氏は「今回の研究結果から、統計上の数値よりも40歳代の大腸がん罹患率は高いという事実を明らかにすることができた」と説明。同氏は、大腸がん検診の開始年齢などについて主治医と話し合うことを勧めるとともに、「たとえ若くても、排便習慣の変化や腹痛、便に血が混じる、意図しない体重減少といったがんの兆候に気をつける必要がある」と助言している。(HealthDay News 2020年1月31日).https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/colonoscopy-news-140/new-study-supports-lowering-age-of-first-colonoscopy-754451.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
米国人の大腸がん罹患率は、49歳から50歳にかけて急激に上昇していることが、米テュレーン大学臨床准教授のJordan Karlitz氏らが行った研究で明らかになった。同氏は「この研究結果は、大腸がん検診の開始年齢を引き下げることを支持するものだ」と強調。また、一部の専門家らは「大腸がん検診に関する推奨内容に影響を与え得る研究結果だ」と述べている。研究の詳細は「JAMA Network Open」1月31日オンライン版に発表された。米国では、さまざまなガイドラインで、平均的なリスクを持つ成人は50歳から大腸がん検診を受けることが推奨されている。しかし、米国がん協会(ACS)は2018年に、若い世代の間で大腸がんが増加していることを踏まえ、大腸がん検診の開始年齢を45歳に引き下げる勧告を行った。一方、米国予防医学専門委員会(USPSTF)の勧告では、平均的なリスクの人であれば50歳からの検診開始を推奨している。.このように、大腸がん検診の開始年齢には、ガイドラインによってばらつきがある。そこで、Karlitz氏らは今回、全米人口の28%をカバーする18地域でのがん登録プログラムから2000~2015年のデータを用いて、30~60歳の男女における年齢別の大腸がん罹患率を調べた。.Karlitz氏によると、これまでの大腸がん罹患率に関する研究は、45~49歳、50~54歳といった年齢区分別のもので、今回、年齢別に調べることで米国人の罹患率の推移を把握しようとした。また、40歳代の人のほとんどは大腸がん検診を受けていないため、実際の罹患率は推計値よりも高い可能性が指摘されていた。.研究の結果、Karlitz氏らの予想通り、大腸がん罹患率は、49歳では10万人当たり35件だったのに対し50歳では51件と、46.1%も大幅に増加していたことが分かった。この結果について、同氏は「これほどまでに急激な上昇が見られるとは考えていなかった」と話している。また、50歳で診断された大腸がん患者の92.9%は浸潤がんであり、発症からある程度の時間が経過している可能性が高いことが示唆された。.一方、今回の研究には関与していない米マウントサイナイ・アイカーン医科大学外科腫瘍学准教授のUmut Sarpel氏は、「恐らく、50歳より前に罹患していたがんが多く発見されたことが、結果に影響したのではないか」との見方を示している。その上で、「この研究結果は、大腸がん検診の開始年齢を50歳未満に引き下げることを支持するものだ」と述べている。.統計によれば、米国の大腸がん患者のほとんどは50歳以降に診断されているが、若い世代の間で大腸がん罹患率は上昇傾向にあることが分かっている。例えば、ACSが主導した研究では、1990年代半ば以降、20~54歳の米国人の大腸がん罹患率は年々、上昇傾向にあることが示されているという。.Karlitz氏は「今回の研究結果から、統計上の数値よりも40歳代の大腸がん罹患率は高いという事実を明らかにすることができた」と説明。同氏は、大腸がん検診の開始年齢などについて主治医と話し合うことを勧めるとともに、「たとえ若くても、排便習慣の変化や腹痛、便に血が混じる、意図しない体重減少といったがんの兆候に気をつける必要がある」と助言している。(HealthDay News 2020年1月31日).https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/colonoscopy-news-140/new-study-supports-lowering-age-of-first-colonoscopy-754451.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.