高齢者は自然と「マインドフルネス」を身につけて、身体的、精神的、社会的に良好な状態を指すウェルビーイングを高めている可能性があることが、フリンダース大学(オーストラリア)准教授のTim Windsor氏らの研究で示された。同氏らが行ったオンライン調査で、若年者と比べて、高齢者にはマインドフルネスの特性がより強く認められたという。研究結果の詳細は「Aging and Mental Health」3月2日オンライン版に掲載された。今起こっていることをありのままに体験し、否定せず直感的に知る「マインドフルネス」により、ストレスを軽減し、良好な精神状態を保つことができるとされる。.今回の研究では、18~86歳の男女623人を対象に、マインドフルネスの特性(今この瞬間に注意を向ける、評価を加えない、受け入れる、執着しない、自己中心的な思考から脱する脱中心化)と目標の柔軟な調整、ウェルビーイングへの意識に関するオンライン調査を実施。その結果、若年者と比べて、高齢になるほどマインドフルネスの特性はいずれも強まっていることが分かった。.Windsor氏は「今回の結果から、人生経験を積み重ねるにつれて、人間はマインドフルネスを自然に身につけている可能性が示唆された。今この瞬間をありのままに理解し、判断にとらわれずに経験を見つめ直す能力は、年齢とともに高まっていくものと考えられる」と説明。その上で、「このような特徴は、加齢に伴って生じる課題を克服し、前向きな感情を生み出すのに役立つ」と付け加えている。.論文の筆頭著者で、臨床心理学を専門とする同大学のLeeann Mahlo氏は「一瞬の経験を正しく把握する能力は、晩年期に日々の目標を調整する上で特に重要かもしれない」と述べ、「今回の調査から、マインドフルネスとウェルビーイングの間に見られる正の関係は、中年期以降により強まることが分かった」と説明している。.また、Mahlo氏は「マインドフルネスが、特に高齢期において有益であるならば、この研究結果は、高齢者のウェルビーイングを高めるための個別化したアプローチに応用できる可能性がある」との見方を示している。同氏によると、マインドフルネスの技能は何歳からでも身につけることができ、ウェルビーイングの向上に役立てることができるという。.Mahlo氏らは、人間の思考や感情、物事の状況はその瞬間にのみ存在するもので、その後もずっと続くわけではないと理解することが重要だとしている。これにより、「現在直面している新型コロナウイルス感染症のパンデミックをはじめとする極めて困難な状況にも、柔軟かつ楽観的に対応するのに役立つだろう」と同氏らは述べている。(HealthDay News 2020年4月2日).https://consumer.healthday.com/mental-health-information-25/mind-and-body-connection-news-764/mindfulness-a-powerful-tool-for-aging-756213.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
高齢者は自然と「マインドフルネス」を身につけて、身体的、精神的、社会的に良好な状態を指すウェルビーイングを高めている可能性があることが、フリンダース大学(オーストラリア)准教授のTim Windsor氏らの研究で示された。同氏らが行ったオンライン調査で、若年者と比べて、高齢者にはマインドフルネスの特性がより強く認められたという。研究結果の詳細は「Aging and Mental Health」3月2日オンライン版に掲載された。今起こっていることをありのままに体験し、否定せず直感的に知る「マインドフルネス」により、ストレスを軽減し、良好な精神状態を保つことができるとされる。.今回の研究では、18~86歳の男女623人を対象に、マインドフルネスの特性(今この瞬間に注意を向ける、評価を加えない、受け入れる、執着しない、自己中心的な思考から脱する脱中心化)と目標の柔軟な調整、ウェルビーイングへの意識に関するオンライン調査を実施。その結果、若年者と比べて、高齢になるほどマインドフルネスの特性はいずれも強まっていることが分かった。.Windsor氏は「今回の結果から、人生経験を積み重ねるにつれて、人間はマインドフルネスを自然に身につけている可能性が示唆された。今この瞬間をありのままに理解し、判断にとらわれずに経験を見つめ直す能力は、年齢とともに高まっていくものと考えられる」と説明。その上で、「このような特徴は、加齢に伴って生じる課題を克服し、前向きな感情を生み出すのに役立つ」と付け加えている。.論文の筆頭著者で、臨床心理学を専門とする同大学のLeeann Mahlo氏は「一瞬の経験を正しく把握する能力は、晩年期に日々の目標を調整する上で特に重要かもしれない」と述べ、「今回の調査から、マインドフルネスとウェルビーイングの間に見られる正の関係は、中年期以降により強まることが分かった」と説明している。.また、Mahlo氏は「マインドフルネスが、特に高齢期において有益であるならば、この研究結果は、高齢者のウェルビーイングを高めるための個別化したアプローチに応用できる可能性がある」との見方を示している。同氏によると、マインドフルネスの技能は何歳からでも身につけることができ、ウェルビーイングの向上に役立てることができるという。.Mahlo氏らは、人間の思考や感情、物事の状況はその瞬間にのみ存在するもので、その後もずっと続くわけではないと理解することが重要だとしている。これにより、「現在直面している新型コロナウイルス感染症のパンデミックをはじめとする極めて困難な状況にも、柔軟かつ楽観的に対応するのに役立つだろう」と同氏らは述べている。(HealthDay News 2020年4月2日).https://consumer.healthday.com/mental-health-information-25/mind-and-body-connection-news-764/mindfulness-a-powerful-tool-for-aging-756213.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.