婦人科外来を定期的に受診する女性には、心血管疾患のリスク因子や症状を抱えている人が多いが、患者自身は多くの場合、そのことを自覚していないとする研究結果が報告された。この研究では、婦人科での診察の際に、心血管疾患のリスク因子や症状を評価するための簡便なスクリーニングツールの有用性も示された。研究結果の詳細は、「Journal of Women's Health」7月13日オンライン版に掲載された。米マウントサイナイ医療センターのRoxana Mehran氏らは、2010年1月から2012年1月にかけて、米国の16箇所の婦人科クリニックを外来受診した女性2,946人(平均年齢51±13.6歳)を対象に、30の質問から成る質問票を用いて、心血管疾患のリスク因子を抱えている人の割合やリスク因子に関する認識について調査するとともに、それらのリスク因子と妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、妊娠高血圧腎症などの不良な妊娠アウトカム(APO)との関連を検討した。対象者のうち、APOを経験したのは380人(12.9%)であった。.その結果、対象者の86.0%が、心血管疾患のリスク因子を一つ以上持っていることが明らかになった。とりわけ多かったのは、座りがちな生活習慣(50%)や過体重(26.9%)などの生活に関わるリスク因子であった。また、40.1%に、労作性胸痛(7.7%)、安静時胸痛(8.7%)、息切れ(14.1%)、動悸(13.0%)などの心血管疾患の症状が一つ以上あることも分かった。さらに、APOを経験した人は、未経験の人に比べて、心血管疾患のリスク因子(89.5%対83.9%、P=0.002)や症状(45.5%対39.3%、P=0.02)を持つ人の割合が高かった。.しかし、多くの人は、自分がそうしたリスク因子を抱えていることを自覚しておらず、その割合は、血圧異常で18.4%、高コレステロール血症で32.0%、糖尿病で17.9%に上った。APOを経験した人と未経験の人を比べた場合、リスク因子の存在を知らなかった人の割合は、血圧異常で17.0%対18.6%、コレステロール高値で31.7%対32.0%、糖尿病で18.5%対17.8%、過体重で43.9%対49.7%であり、リスク因子を自覚している人は、APO経験者の方がわずかに多かった。.Mehran氏は、「多くの女性にとって、婦人科の受診が唯一のプライマリヘルスケアとなっていることを考慮すると、婦人科クリニックでの心臓スクリーニングを推進することで、女性の心血管疾患の検出率を向上できる可能性がある」と述べている。さらに、そうした心血管疾患のリスク評価には、今回の研究で用いたような簡便な質問票が極めて有効であると結論付けている。.米エモリー女性心臓センターのGina Lundberg氏は付随論評の中で、「この論文は、われわれが、あらゆる女性、とりわけ閉経周辺期の女性や不良な妊娠アウトカムの経験がある女性における狭心症の症状を検知できていないだけでなく、心血管疾患のリスク因子についても十分に認識できていないことを浮き彫りにするものだ」と指摘している。(HealthDay News 2020年8月10日).https://consumer.healthday.com/cardiovascular-health-information-20/angina-health-news-355/gynecological-exam-heart-screening-should-go-hand-in-hand-759687.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
婦人科外来を定期的に受診する女性には、心血管疾患のリスク因子や症状を抱えている人が多いが、患者自身は多くの場合、そのことを自覚していないとする研究結果が報告された。この研究では、婦人科での診察の際に、心血管疾患のリスク因子や症状を評価するための簡便なスクリーニングツールの有用性も示された。研究結果の詳細は、「Journal of Women's Health」7月13日オンライン版に掲載された。米マウントサイナイ医療センターのRoxana Mehran氏らは、2010年1月から2012年1月にかけて、米国の16箇所の婦人科クリニックを外来受診した女性2,946人(平均年齢51±13.6歳)を対象に、30の質問から成る質問票を用いて、心血管疾患のリスク因子を抱えている人の割合やリスク因子に関する認識について調査するとともに、それらのリスク因子と妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、妊娠高血圧腎症などの不良な妊娠アウトカム(APO)との関連を検討した。対象者のうち、APOを経験したのは380人(12.9%)であった。.その結果、対象者の86.0%が、心血管疾患のリスク因子を一つ以上持っていることが明らかになった。とりわけ多かったのは、座りがちな生活習慣(50%)や過体重(26.9%)などの生活に関わるリスク因子であった。また、40.1%に、労作性胸痛(7.7%)、安静時胸痛(8.7%)、息切れ(14.1%)、動悸(13.0%)などの心血管疾患の症状が一つ以上あることも分かった。さらに、APOを経験した人は、未経験の人に比べて、心血管疾患のリスク因子(89.5%対83.9%、P=0.002)や症状(45.5%対39.3%、P=0.02)を持つ人の割合が高かった。.しかし、多くの人は、自分がそうしたリスク因子を抱えていることを自覚しておらず、その割合は、血圧異常で18.4%、高コレステロール血症で32.0%、糖尿病で17.9%に上った。APOを経験した人と未経験の人を比べた場合、リスク因子の存在を知らなかった人の割合は、血圧異常で17.0%対18.6%、コレステロール高値で31.7%対32.0%、糖尿病で18.5%対17.8%、過体重で43.9%対49.7%であり、リスク因子を自覚している人は、APO経験者の方がわずかに多かった。.Mehran氏は、「多くの女性にとって、婦人科の受診が唯一のプライマリヘルスケアとなっていることを考慮すると、婦人科クリニックでの心臓スクリーニングを推進することで、女性の心血管疾患の検出率を向上できる可能性がある」と述べている。さらに、そうした心血管疾患のリスク評価には、今回の研究で用いたような簡便な質問票が極めて有効であると結論付けている。.米エモリー女性心臓センターのGina Lundberg氏は付随論評の中で、「この論文は、われわれが、あらゆる女性、とりわけ閉経周辺期の女性や不良な妊娠アウトカムの経験がある女性における狭心症の症状を検知できていないだけでなく、心血管疾患のリスク因子についても十分に認識できていないことを浮き彫りにするものだ」と指摘している。(HealthDay News 2020年8月10日).https://consumer.healthday.com/cardiovascular-health-information-20/angina-health-news-355/gynecological-exam-heart-screening-should-go-hand-in-hand-759687.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.