夜間勤務を伴う仕事に就く人では、昼間に働く人に比べて、中等症から重症の喘息を発症するリスクが30%以上高いことが、英マンチェスター大学のHannah Durrington氏らによる研究で明らかにされた。研究チームは、「先進国での夜間勤務を伴う仕事に就く人の多さと喘息の有病率の高さに鑑みると、われわれの研究結果が公衆衛生に対して示唆するものは非常に大きいだろう」と述べている。研究結果は、「Thorax」に11月16日掲載された。Durrington氏らによると、先進国では就業者の5人に1人が常夜勤勤務、またはシフト制の夜間勤務に就いている。夜間勤務は体内時計(概日リズム)の乱れの原因となる。そのような体内時計の乱れはさらに、さまざまな代謝異常や心血管疾患、がんの発症リスク上昇を招く可能性もある。一方、喘息の症状は、1日の中で時間帯により大きく異なる。そこで同氏らは、夜間勤務が喘息の発症リスクや重症度と関連するのかを調べることにした。.Durrington氏らは、2007~2010年におけるUKバイオバンクの参加者28万6,825人を対象とし、診療録やライフスタイル、雇用状況に関するデータを収集した。対象者の年齢は37〜72歳で、83%の人は日中に固定時間勤務に就いていた。残りの17%の人はシフト勤務に就いており、このうちの51%の仕事は夜間勤務を伴う仕事であった。なお、シフト勤務には、1)夜間勤務なし、またはまれに夜間勤務がある、2)不規則、または交代制の夜間勤務、3)常夜勤勤務、の3パターンがあった。.対象者の特徴としては、シフト勤務の人には、固定時間勤務の人に比べて、男性が多く、喫煙率が高く、都市部の貧しい地域に暮らす人が多いことが明らかになった。また、飲酒量が少なく、睡眠時間が短く、労働時間が長い傾向があることも判明した。.対象者のうち、喘息持ちであったのは5.3%(1万4,238人)で、1.9%(4,783人)では、症状が中等症から重症であった。年齢、性別、その他のさまざまなリスク因子を考慮して解析した結果、常夜勤勤務の人は固定時間勤務の人に比べて、中等症から重症の喘息を発症するリスクが36%高かった。また、喘鳴が生じるオッズは、固定時間勤務の人に比べて、3パターンのシフト勤務のいずれかに就いている人で11~18%高かった。さらに、夜間勤務なし、またはまれに夜間勤務がある人と、常夜勤勤務の人では、肺機能が低下しているオッズも約20%高かった。.Durrington氏らは、「この研究結果は関連を示したものに過ぎず、因果関係が明らかになったわけではない」と強調。その上で、「とはいえ、概日リズムの乱れが喘息の発症につながることは、十分に考えられることだ」と述べている。.一方、この研究には関与していない、米レノックス・ヒル病院の肺専門医であるLen Horovitz氏は、「今回の対象者には喫煙者が多かったことも、結果に影響を及ぼしているはずだ」と述べ、喫煙が喘息リスクを大幅に増大させる可能性があることを指摘している。(HealthDay News 2020年11月17日).https://consumer.healthday.com/sb-11-17-could-night-shifts-raise-asthma-risk-2648891954.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
夜間勤務を伴う仕事に就く人では、昼間に働く人に比べて、中等症から重症の喘息を発症するリスクが30%以上高いことが、英マンチェスター大学のHannah Durrington氏らによる研究で明らかにされた。研究チームは、「先進国での夜間勤務を伴う仕事に就く人の多さと喘息の有病率の高さに鑑みると、われわれの研究結果が公衆衛生に対して示唆するものは非常に大きいだろう」と述べている。研究結果は、「Thorax」に11月16日掲載された。Durrington氏らによると、先進国では就業者の5人に1人が常夜勤勤務、またはシフト制の夜間勤務に就いている。夜間勤務は体内時計(概日リズム)の乱れの原因となる。そのような体内時計の乱れはさらに、さまざまな代謝異常や心血管疾患、がんの発症リスク上昇を招く可能性もある。一方、喘息の症状は、1日の中で時間帯により大きく異なる。そこで同氏らは、夜間勤務が喘息の発症リスクや重症度と関連するのかを調べることにした。.Durrington氏らは、2007~2010年におけるUKバイオバンクの参加者28万6,825人を対象とし、診療録やライフスタイル、雇用状況に関するデータを収集した。対象者の年齢は37〜72歳で、83%の人は日中に固定時間勤務に就いていた。残りの17%の人はシフト勤務に就いており、このうちの51%の仕事は夜間勤務を伴う仕事であった。なお、シフト勤務には、1)夜間勤務なし、またはまれに夜間勤務がある、2)不規則、または交代制の夜間勤務、3)常夜勤勤務、の3パターンがあった。.対象者の特徴としては、シフト勤務の人には、固定時間勤務の人に比べて、男性が多く、喫煙率が高く、都市部の貧しい地域に暮らす人が多いことが明らかになった。また、飲酒量が少なく、睡眠時間が短く、労働時間が長い傾向があることも判明した。.対象者のうち、喘息持ちであったのは5.3%(1万4,238人)で、1.9%(4,783人)では、症状が中等症から重症であった。年齢、性別、その他のさまざまなリスク因子を考慮して解析した結果、常夜勤勤務の人は固定時間勤務の人に比べて、中等症から重症の喘息を発症するリスクが36%高かった。また、喘鳴が生じるオッズは、固定時間勤務の人に比べて、3パターンのシフト勤務のいずれかに就いている人で11~18%高かった。さらに、夜間勤務なし、またはまれに夜間勤務がある人と、常夜勤勤務の人では、肺機能が低下しているオッズも約20%高かった。.Durrington氏らは、「この研究結果は関連を示したものに過ぎず、因果関係が明らかになったわけではない」と強調。その上で、「とはいえ、概日リズムの乱れが喘息の発症につながることは、十分に考えられることだ」と述べている。.一方、この研究には関与していない、米レノックス・ヒル病院の肺専門医であるLen Horovitz氏は、「今回の対象者には喫煙者が多かったことも、結果に影響を及ぼしているはずだ」と述べ、喫煙が喘息リスクを大幅に増大させる可能性があることを指摘している。(HealthDay News 2020年11月17日).https://consumer.healthday.com/sb-11-17-could-night-shifts-raise-asthma-risk-2648891954.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.