ニューヨーク市在住の作家で3児の母でもあるLyss Sternさんは、平日のほとんどをオンラインで授業を受ける子どもたちのサポートに費やしている。しかし、どの子もあまり成果が上がっていない。同時にさまざまなことが進行していて、常に、「子どもたちはしっかり学べているのか」「つまずいていないか」「宿題がたまっていないか」「勉強時間中に机の下でこっそりTikTokを見てはいないか」といったことに気を配る必要があるのだという。そうこうするうちに、Sternさんはこれまでに経験したことがないレベルの不安とストレスを抱えるようになった。しかし、そのような困難に直面しているのは彼女だけではない。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによって学校が遠隔教育に移行したため、教育のための訓練など受けたことのない多くの親が教師の代理を務めなくてはならなくなったからだ。.こうした中、米ノースカロライナ大学チャペルヒル校のJoaquin Alfredo-Angel Rubalcaba氏らは、遠隔教育が親たちのメンタルヘルスに与えた影響について検討するため、パンデミック中の2020年3~4月に米国で3,338世帯に対して実施された調査データを分析。その結果を、「Educational Researcher」に12月15日発表した。.それによると、遠隔教育で困難を抱える子どもがいるという親の割合は51%に上り、こうした親たちはより大きなストレスを抱えていることが示された。また、遠隔教育で困難を抱える子どもがいる親では、そのような子どもがいない親と比べて、不安(86%対67%)や抑うつ(81%対59%)、睡眠障害(83%対63%)を抱えている人の割合が高く、以前は楽しんでいたことに興味を失ったり、楽しいと感じなくなった人の割合(79%対56%)も高かった。この結果は、収入や困難を抱えている子どもの数、対面での授業が中止されてからの日数などにかかわりなく認められた。.「教師の代理を務める親が苦痛を感じていると、子ども自身も苦痛を感じやすい。これが原因で、遠隔教育への適応が難しくなったり、既に抱えていた学習困難の問題が悪化したりする可能性がある」とRubalcaba氏は言う。.現時点では、いつ子どもたちがフルタイムで安全に学校に戻れるのかは不明だ。「とはいえ、自宅で子どもがうまく遠隔教育に適応するために、親や教師が手助けできることはある」とRubalcaba氏らは話す。例えば、子どもたちがどのように遠隔学習に取り組んでいるか、また、学習に必要な教材が足りているかなどを学校側が親たちに定期的に確認し、親との関係を築くことを提案している。.一方、全米教育協会のシニア・ポリシー・アナリストを務めるShyrelle Eubanks氏によると、多くの教師はオンラインで親や生徒の相談に応じることのできるオフィスアワーを設けており、ここにアクセスすることで、問題が大きくなる前に解決することが可能だという。また、地域によっては、親や子どものメンタルヘルス向上を目指したリソースが利用可能な場合もあるという。.米ネイションワイド小児病院の小児心理士であるParker Huston氏も、「親へのサポートの強化が必要」との見解を示す。そして、「教師はフルタイムの仕事であり、自分の仕事と家事をしながらこなせるようなものではない。親が教師の代理を務めるには、オンライン学習へのログイン方法以上のことを理解している必要がある」と指摘する。さらに同氏は「パンデミックが始まる前から学習困難を抱えていた子どもの場合、自宅で親が朝から晩までつきっきりで教えない限り、問題がさらに大きくなる可能性が高い」と話している。.Eubanks氏は、この試練の時が続く中では、規則正しい生活を送ることが親子双方にとって助けになると指摘。オンライン授業にパジャマのまま出席すべきではないし、食事や就寝の時間も普段通りを維持するべきことを強調している。また、子どもたちは毎日、外に出て身体を動かすことも必要だとしている。(HealthDay News 2020年12月22日).https://consumer.healthday.com/test-2649619303.html.Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.
ニューヨーク市在住の作家で3児の母でもあるLyss Sternさんは、平日のほとんどをオンラインで授業を受ける子どもたちのサポートに費やしている。しかし、どの子もあまり成果が上がっていない。同時にさまざまなことが進行していて、常に、「子どもたちはしっかり学べているのか」「つまずいていないか」「宿題がたまっていないか」「勉強時間中に机の下でこっそりTikTokを見てはいないか」といったことに気を配る必要があるのだという。そうこうするうちに、Sternさんはこれまでに経験したことがないレベルの不安とストレスを抱えるようになった。しかし、そのような困難に直面しているのは彼女だけではない。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによって学校が遠隔教育に移行したため、教育のための訓練など受けたことのない多くの親が教師の代理を務めなくてはならなくなったからだ。.こうした中、米ノースカロライナ大学チャペルヒル校のJoaquin Alfredo-Angel Rubalcaba氏らは、遠隔教育が親たちのメンタルヘルスに与えた影響について検討するため、パンデミック中の2020年3~4月に米国で3,338世帯に対して実施された調査データを分析。その結果を、「Educational Researcher」に12月15日発表した。.それによると、遠隔教育で困難を抱える子どもがいるという親の割合は51%に上り、こうした親たちはより大きなストレスを抱えていることが示された。また、遠隔教育で困難を抱える子どもがいる親では、そのような子どもがいない親と比べて、不安(86%対67%)や抑うつ(81%対59%)、睡眠障害(83%対63%)を抱えている人の割合が高く、以前は楽しんでいたことに興味を失ったり、楽しいと感じなくなった人の割合(79%対56%)も高かった。この結果は、収入や困難を抱えている子どもの数、対面での授業が中止されてからの日数などにかかわりなく認められた。.「教師の代理を務める親が苦痛を感じていると、子ども自身も苦痛を感じやすい。これが原因で、遠隔教育への適応が難しくなったり、既に抱えていた学習困難の問題が悪化したりする可能性がある」とRubalcaba氏は言う。.現時点では、いつ子どもたちがフルタイムで安全に学校に戻れるのかは不明だ。「とはいえ、自宅で子どもがうまく遠隔教育に適応するために、親や教師が手助けできることはある」とRubalcaba氏らは話す。例えば、子どもたちがどのように遠隔学習に取り組んでいるか、また、学習に必要な教材が足りているかなどを学校側が親たちに定期的に確認し、親との関係を築くことを提案している。.一方、全米教育協会のシニア・ポリシー・アナリストを務めるShyrelle Eubanks氏によると、多くの教師はオンラインで親や生徒の相談に応じることのできるオフィスアワーを設けており、ここにアクセスすることで、問題が大きくなる前に解決することが可能だという。また、地域によっては、親や子どものメンタルヘルス向上を目指したリソースが利用可能な場合もあるという。.米ネイションワイド小児病院の小児心理士であるParker Huston氏も、「親へのサポートの強化が必要」との見解を示す。そして、「教師はフルタイムの仕事であり、自分の仕事と家事をしながらこなせるようなものではない。親が教師の代理を務めるには、オンライン学習へのログイン方法以上のことを理解している必要がある」と指摘する。さらに同氏は「パンデミックが始まる前から学習困難を抱えていた子どもの場合、自宅で親が朝から晩までつきっきりで教えない限り、問題がさらに大きくなる可能性が高い」と話している。.Eubanks氏は、この試練の時が続く中では、規則正しい生活を送ることが親子双方にとって助けになると指摘。オンライン授業にパジャマのまま出席すべきではないし、食事や就寝の時間も普段通りを維持するべきことを強調している。また、子どもたちは毎日、外に出て身体を動かすことも必要だとしている。(HealthDay News 2020年12月22日).https://consumer.healthday.com/test-2649619303.html.Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.