新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを受けて多くの人が熱心に掃除をするようになったが、家庭内での消毒剤の使用頻度の増加が喘息発作を誘発する可能性が示唆された。米イリノイ大学シカゴ校准教授のKamal Eldeirawi氏らによるこの研究の詳細は、「The Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practice」に2020年12月29日掲載された。Eldeirawi氏らは、2020年5~9月に18歳以上の成人喘息患者795人(平均年齢43.9±15.2歳、女性81%)に対してオンライン調査を行った。調査では、手洗いやアルコール消毒剤の使用、家庭用消毒剤(除菌シートや除菌スプレー、漂白剤や水溶液など)の使用頻度について尋ねた。そのほか、過去4週間における発作治療薬の使用の有無や息切れの頻度など5項目について喘息コントロールテスト(ACT)で評価し、19点以下を制御困難な喘息とした。.Eldeirawi氏は、「新型コロナウイルス感染予防のために、家庭内で掃除と消毒を行うことが増えた。その上、家の中で過ごす時間も増えた。これに伴い、喘息症状を誘発する環境要因への曝露も増えた可能性がある。われわれは、パンデミック下における消毒剤と喘息管理との関連について興味を抱き、今回の研究を行った」と研究背景について語っている。.調査の結果、対象者の95%以上が、COVID-19パンデミック以来、手洗いの頻度とアルコール消毒剤の使用頻度が増加したと回答したことが明らかになった。家庭用消毒剤を週に5回以上使用する対象者では、除菌シートの使用が138%、除菌スプレーの使用が121%、漂白剤と水溶液の使用が155%、その他の液体消毒剤の使用が89%増加していた。.家庭用消毒剤の使用と喘息との関連を解析したところ、いずれの消毒剤についても週に5回以上の使用は、週に5回未満の使用と比べて、制御困難な喘息と有意に関連することが明らかになった。また、今回の研究では、喘息に関連した医療機関の受診回数や救急外来の受診回数のデータについては解析されていないが、多くの回答者が、喘息発作を起こしたと回答した。.こうした結果を受けてEldeirawi氏らは、「家庭用消毒剤の使用増加が、喘息患者に影響を与えることが示唆された」と結論付け、より安全な清掃方法について医療従事者に相談すべきだとしている。なお、消毒剤の代替品としては、酢、水、食器用洗剤、濃度70%のアルコール、過酸化水素水などが考えられるという。.Eldeirawi氏は、「喘息患者に対するCOVID-19パンデミックの影響は全体像がまだ不明だが、この問題に関する研究は世界中で行われている」と述べている。研究チームも、今回の調査回答者に喘息の症状およびマスク使用の有無などについても尋ね、研究を継続していくとの考えを示している。(HealthDay News 2021年2月16日).https://consumer.healthday.com/b-2-16-pandemic-is-upping-use-of-household-cleaning-products-triggering-asthma-flare-ups-2650473253.html.Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを受けて多くの人が熱心に掃除をするようになったが、家庭内での消毒剤の使用頻度の増加が喘息発作を誘発する可能性が示唆された。米イリノイ大学シカゴ校准教授のKamal Eldeirawi氏らによるこの研究の詳細は、「The Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practice」に2020年12月29日掲載された。Eldeirawi氏らは、2020年5~9月に18歳以上の成人喘息患者795人(平均年齢43.9±15.2歳、女性81%)に対してオンライン調査を行った。調査では、手洗いやアルコール消毒剤の使用、家庭用消毒剤(除菌シートや除菌スプレー、漂白剤や水溶液など)の使用頻度について尋ねた。そのほか、過去4週間における発作治療薬の使用の有無や息切れの頻度など5項目について喘息コントロールテスト(ACT)で評価し、19点以下を制御困難な喘息とした。.Eldeirawi氏は、「新型コロナウイルス感染予防のために、家庭内で掃除と消毒を行うことが増えた。その上、家の中で過ごす時間も増えた。これに伴い、喘息症状を誘発する環境要因への曝露も増えた可能性がある。われわれは、パンデミック下における消毒剤と喘息管理との関連について興味を抱き、今回の研究を行った」と研究背景について語っている。.調査の結果、対象者の95%以上が、COVID-19パンデミック以来、手洗いの頻度とアルコール消毒剤の使用頻度が増加したと回答したことが明らかになった。家庭用消毒剤を週に5回以上使用する対象者では、除菌シートの使用が138%、除菌スプレーの使用が121%、漂白剤と水溶液の使用が155%、その他の液体消毒剤の使用が89%増加していた。.家庭用消毒剤の使用と喘息との関連を解析したところ、いずれの消毒剤についても週に5回以上の使用は、週に5回未満の使用と比べて、制御困難な喘息と有意に関連することが明らかになった。また、今回の研究では、喘息に関連した医療機関の受診回数や救急外来の受診回数のデータについては解析されていないが、多くの回答者が、喘息発作を起こしたと回答した。.こうした結果を受けてEldeirawi氏らは、「家庭用消毒剤の使用増加が、喘息患者に影響を与えることが示唆された」と結論付け、より安全な清掃方法について医療従事者に相談すべきだとしている。なお、消毒剤の代替品としては、酢、水、食器用洗剤、濃度70%のアルコール、過酸化水素水などが考えられるという。.Eldeirawi氏は、「喘息患者に対するCOVID-19パンデミックの影響は全体像がまだ不明だが、この問題に関する研究は世界中で行われている」と述べている。研究チームも、今回の調査回答者に喘息の症状およびマスク使用の有無などについても尋ね、研究を継続していくとの考えを示している。(HealthDay News 2021年2月16日).https://consumer.healthday.com/b-2-16-pandemic-is-upping-use-of-household-cleaning-products-triggering-asthma-flare-ups-2650473253.html.Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.