関節リウマチ(RA)の治療薬であるウパダシチニブが、RAと同様に免疫系の疾患であるアトピー性皮膚炎にも有効である可能性を示した2件の第3相臨床試験の結果が報告された。中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者を対象に実施されたこれらの臨床試験では、ウパダシチニブ使用後に症状の有意かつ速やかな改善が認められたという。米マウントサイナイ・アイカーン医科大学皮膚科学教授のEmma Guttman-Yassky氏らによるこの研究は、「The Lancet」に5月20日掲載された。. 今回報告された2件の臨床試験(Measure Up 1とMeasure Up 2)には、12〜17歳の思春期の若者、および18〜75歳の成人のアトピー性皮膚炎患者1,683人が組み入れられた。対象者は、Measure Up 1では2018年8月13日〜2019年12月23日の間に、Measure Up 2では2018年7月27日〜2020年1月17日の間に、ウパダシチニブを15mg/日投与する群と30mg/日投与する群、プラセボを投与する群に1対1対1の割合でランダムに割り付けられた。アトピー性皮膚炎については、重症度と広がりを評価するEASIスコアと重症度の総合評価であるvIGA-ADスコアにより評価した。主要評価項目は両試験とも、投与から16週目の時点で、1)EASIスコアが、試験開始時と比べて75%以上改善した患者の割合、2)vIGA-ADスコアが試験開始時と比べて2グレード以上減少して0(消退)または1(ほぼ消退)を達成した患者の割合であった。. その結果、両試験とも、EASIスコアが試験開始時と比べて75%以上改善した患者の割合と、vIGA-ADスコアで0または1を達成した患者の割合は、プラセボ投与群に比べて、ウパダシチニブの15mg/日および30mg/日投与群で有意に高いことが明らかになった。また、ウパダシチニブの忍容性は、いずれの投与量の患者でも良好で、安全性に関しても有意なリスク上昇は認められなかった。試験治療下で頻繁に報告された主な有害事象は、座瘡、上気道感染症、鼻咽頭炎、頭痛などだった。. Guttman-Yassky氏は、「試験開始から16週後までに中等症~重症のアトピー性皮膚炎患者のほとんどで皮膚炎が90%消退し、100%消退した患者もいた」と説明し、「驚くべき結果だ」と述べている。また、「痒みも、試験開始から数日以内に有意に改善し始めた。臨床的有効性は試験開始からわずか4週後の時点で最大となり、16週後まで効果が持続していた」と説明している。. ウパダシチニブは既にRAの治療薬として承認され、リンヴォックという製品名で販売されている。Guttman-Yassky氏によると、アトピー性皮膚炎の治療法は他にもあるが、そのほとんどに欠点がある。例えば、局所クリーム剤を使用できない、あるいは使用しても反応しないアトピー性皮膚炎患者には、生物学的製剤の注射薬を投与することで高い治療効果が得られる。しかし、抗薬物抗体が産生されて薬剤の半減期が短くなる可能性があるため、生物学的製剤は自己判断で使用を中止したり再開したりすることができないという。これとは反対に、ウパダシチニブにはそのような制限がない。. 今回の報告を受け、この研究には関与していない米レノックス・ヒル病院の皮膚科医であるMichele Green氏は、「重要な知見だ」と話す。また同氏は、「臨床試験の対象に思春期の若者が含まれていたことも重要だ。この年代の患者の治療には、現在使用されている生物学的製剤の注射薬よりも経口治療薬の方が好ましい選択肢になるだろう」と述べている。(HealthDay News 2021年5月21日).https://consumer.healthday.com/sb-5-21-2653026406…..Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.
関節リウマチ(RA)の治療薬であるウパダシチニブが、RAと同様に免疫系の疾患であるアトピー性皮膚炎にも有効である可能性を示した2件の第3相臨床試験の結果が報告された。中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者を対象に実施されたこれらの臨床試験では、ウパダシチニブ使用後に症状の有意かつ速やかな改善が認められたという。米マウントサイナイ・アイカーン医科大学皮膚科学教授のEmma Guttman-Yassky氏らによるこの研究は、「The Lancet」に5月20日掲載された。. 今回報告された2件の臨床試験(Measure Up 1とMeasure Up 2)には、12〜17歳の思春期の若者、および18〜75歳の成人のアトピー性皮膚炎患者1,683人が組み入れられた。対象者は、Measure Up 1では2018年8月13日〜2019年12月23日の間に、Measure Up 2では2018年7月27日〜2020年1月17日の間に、ウパダシチニブを15mg/日投与する群と30mg/日投与する群、プラセボを投与する群に1対1対1の割合でランダムに割り付けられた。アトピー性皮膚炎については、重症度と広がりを評価するEASIスコアと重症度の総合評価であるvIGA-ADスコアにより評価した。主要評価項目は両試験とも、投与から16週目の時点で、1)EASIスコアが、試験開始時と比べて75%以上改善した患者の割合、2)vIGA-ADスコアが試験開始時と比べて2グレード以上減少して0(消退)または1(ほぼ消退)を達成した患者の割合であった。. その結果、両試験とも、EASIスコアが試験開始時と比べて75%以上改善した患者の割合と、vIGA-ADスコアで0または1を達成した患者の割合は、プラセボ投与群に比べて、ウパダシチニブの15mg/日および30mg/日投与群で有意に高いことが明らかになった。また、ウパダシチニブの忍容性は、いずれの投与量の患者でも良好で、安全性に関しても有意なリスク上昇は認められなかった。試験治療下で頻繁に報告された主な有害事象は、座瘡、上気道感染症、鼻咽頭炎、頭痛などだった。. Guttman-Yassky氏は、「試験開始から16週後までに中等症~重症のアトピー性皮膚炎患者のほとんどで皮膚炎が90%消退し、100%消退した患者もいた」と説明し、「驚くべき結果だ」と述べている。また、「痒みも、試験開始から数日以内に有意に改善し始めた。臨床的有効性は試験開始からわずか4週後の時点で最大となり、16週後まで効果が持続していた」と説明している。. ウパダシチニブは既にRAの治療薬として承認され、リンヴォックという製品名で販売されている。Guttman-Yassky氏によると、アトピー性皮膚炎の治療法は他にもあるが、そのほとんどに欠点がある。例えば、局所クリーム剤を使用できない、あるいは使用しても反応しないアトピー性皮膚炎患者には、生物学的製剤の注射薬を投与することで高い治療効果が得られる。しかし、抗薬物抗体が産生されて薬剤の半減期が短くなる可能性があるため、生物学的製剤は自己判断で使用を中止したり再開したりすることができないという。これとは反対に、ウパダシチニブにはそのような制限がない。. 今回の報告を受け、この研究には関与していない米レノックス・ヒル病院の皮膚科医であるMichele Green氏は、「重要な知見だ」と話す。また同氏は、「臨床試験の対象に思春期の若者が含まれていたことも重要だ。この年代の患者の治療には、現在使用されている生物学的製剤の注射薬よりも経口治療薬の方が好ましい選択肢になるだろう」と述べている。(HealthDay News 2021年5月21日).https://consumer.healthday.com/sb-5-21-2653026406…..Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.