ビタミンDが豊富な食品が、若い人たちを大腸がんから守ってくれる可能性のあることが報告された。米ダナファーバーがん研究所のKimmie Ng氏らの研究結果であり、詳細は「Gastroenterology」に7月6日掲載された。同氏は、「ビタミンD欠乏症は近年、着実に増加してきている。それが若い人たちの大腸がん増加につながっているのではないかと考えた」と研究の背景を語っている。 米国では、50歳未満で発症する若年性大腸がんの増加が続いている。この傾向は、魚、きのこ、卵、牛乳などのビタミンDが豊富な食品の摂取量低下傾向と一致している。また、ビタミンD摂取量と大腸がんによる死亡リスクに関連があるとする報告も増えている。しかし、若年性大腸がんに関しては、このような関連があるのか否かは、これまで明らかでなかった。 Ng氏らはこの研究に、1989年にスタートした25~42歳の女性看護師対象の前向きコホート研究「Nurses' Health Study II(NHS II)」のデータを用い、9万4,205人を1991~2015年にわたって追跡した。 125万560人年の追跡で、大腸がん111例と大腸ポリープ3,317例が記録されていた。解析の結果、大腸がんに関しては、ビタミンD摂取量300IU/日未満に比較して450IU/日以上ではハザード比(HR)0.49(95%信頼区間0.26~0.93)であり、ビタミンD摂取量が多いほどリスクが低いという関連が認められた(傾向性P=0.01)。なお、300IUのビタミンDとは、8オンス(237mL)のコップ3杯分の牛乳に含まれる量に相当するという。 また、1日当たりのビタミンD摂取量が400IU多いごとに、大腸がんリスクが54%低下することも分かった〔HR0.46(95%信頼区間0.26~0.83)〕。ただしこの関連は、ビタミンDをサプリメントからではなく、食品から摂取している場合にのみ認められた。具体的には、食品からの1日当たりビタミンD摂取量が400IU多いごとにHR0.34(同0.15~0.79)と有意であるのに対し、サプリメントではHR0.77(同0.37~1.62)と有意でなかった。 興味深いことに、ビタミンD摂取量と大腸がんリスクとの逆相関は、50歳以上では認められなかった。 なお、一部ががん化する可能性のある大腸ポリープについても、50歳未満では、ビタミンDの摂取量が多いことによるリスク低下が認められた。具体的に、通常型腺腫(1,439例)については1日当たりビタミンD摂取量が400IU多いごとに、HR0.76(同0.65~0.88)、鋸歯状ポリープ(1,878例)ではHR0.85(同0.75~0.97)だった。 Ng氏は、「これらの結果は、ビタミンDが若年成人の大腸がん予防に重要であるという考え方を支持している。食生活を含む生活習慣に関する情報を基に大腸がんハイリスク者を特定し、より早期からスクリーニングを開始すべきかもしれない」と述べている。また、大腸がんのスクリーニングの普及に加えてビタミンDの摂取推奨が、若年性大腸がんの抑制につながる可能性にも言及している。(HealthDay News 2021年8月18日).https://consumer.healthday.com/b-8-18-vitamin-d-mi….Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.
ビタミンDが豊富な食品が、若い人たちを大腸がんから守ってくれる可能性のあることが報告された。米ダナファーバーがん研究所のKimmie Ng氏らの研究結果であり、詳細は「Gastroenterology」に7月6日掲載された。同氏は、「ビタミンD欠乏症は近年、着実に増加してきている。それが若い人たちの大腸がん増加につながっているのではないかと考えた」と研究の背景を語っている。 米国では、50歳未満で発症する若年性大腸がんの増加が続いている。この傾向は、魚、きのこ、卵、牛乳などのビタミンDが豊富な食品の摂取量低下傾向と一致している。また、ビタミンD摂取量と大腸がんによる死亡リスクに関連があるとする報告も増えている。しかし、若年性大腸がんに関しては、このような関連があるのか否かは、これまで明らかでなかった。 Ng氏らはこの研究に、1989年にスタートした25~42歳の女性看護師対象の前向きコホート研究「Nurses' Health Study II(NHS II)」のデータを用い、9万4,205人を1991~2015年にわたって追跡した。 125万560人年の追跡で、大腸がん111例と大腸ポリープ3,317例が記録されていた。解析の結果、大腸がんに関しては、ビタミンD摂取量300IU/日未満に比較して450IU/日以上ではハザード比(HR)0.49(95%信頼区間0.26~0.93)であり、ビタミンD摂取量が多いほどリスクが低いという関連が認められた(傾向性P=0.01)。なお、300IUのビタミンDとは、8オンス(237mL)のコップ3杯分の牛乳に含まれる量に相当するという。 また、1日当たりのビタミンD摂取量が400IU多いごとに、大腸がんリスクが54%低下することも分かった〔HR0.46(95%信頼区間0.26~0.83)〕。ただしこの関連は、ビタミンDをサプリメントからではなく、食品から摂取している場合にのみ認められた。具体的には、食品からの1日当たりビタミンD摂取量が400IU多いごとにHR0.34(同0.15~0.79)と有意であるのに対し、サプリメントではHR0.77(同0.37~1.62)と有意でなかった。 興味深いことに、ビタミンD摂取量と大腸がんリスクとの逆相関は、50歳以上では認められなかった。 なお、一部ががん化する可能性のある大腸ポリープについても、50歳未満では、ビタミンDの摂取量が多いことによるリスク低下が認められた。具体的に、通常型腺腫(1,439例)については1日当たりビタミンD摂取量が400IU多いごとに、HR0.76(同0.65~0.88)、鋸歯状ポリープ(1,878例)ではHR0.85(同0.75~0.97)だった。 Ng氏は、「これらの結果は、ビタミンDが若年成人の大腸がん予防に重要であるという考え方を支持している。食生活を含む生活習慣に関する情報を基に大腸がんハイリスク者を特定し、より早期からスクリーニングを開始すべきかもしれない」と述べている。また、大腸がんのスクリーニングの普及に加えてビタミンDの摂取推奨が、若年性大腸がんの抑制につながる可能性にも言及している。(HealthDay News 2021年8月18日).https://consumer.healthday.com/b-8-18-vitamin-d-mi….Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.