米食品医薬品局(FDA)は6月17日、米国内の生後6カ月以上の小児に対するファイザー社製およびモデルナ社製の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの接種について、緊急使用許可(EUA)を与えたことを発表した。これまでの接種対象年齢は、モデルナ社製ワクチンで8歳以上、ファイザー社製ワクチンで5歳以上だった。今回の許可のタイミングは決して早いとは言えない。COVID-19パンデミックが始まって2年以上になる現在まで、5歳未満の小児が利用できるワクチンはなかった。FDA長官のRobert Califf氏は、「今回の措置により、親や医療従事者などが心待ちにしていた、生後6カ月以上の小児へのワクチン接種が可能となった。これにより、他の年齢層と同様に、COVID-19による入院や死亡などの重症転帰を予防できるだろう」と述べている。米セントジュード小児研究病院のDiego Hijano氏はこのニュースを歓迎する。「幼い子を持つ親たちには、早めに子どもにワクチンを受けさせ、新型コロナウイルスから子どもを守ってほしい。予測モデルによれば、秋は厳しい感染シーズンとなる可能性があり、状況が落ち着いている夏こそ接種の予約を取るべき時だ」と同氏は言う。FDAの今回の決定を受け、米疾病対策センター(CDC)の諮問委員会が接種を推奨すべきかどうかを検討し、CDC所長のRochelle Walensky氏が最終的なゴーサインを出す。とはいえ、課題も残っている。両ワクチンとも臨床試験の多くが、オミクロン株が主流であった時期に実施されており、その後に主流となった変異株に対しては試験で検証されていないからである。オミクロン株の後には、その亜種であるBA.2系統が主流となり、現在では新たにBA.4およびBA.5という系統が増加している(6月11日時点で米国の感染例に占める割合はBA.4が8.3%、BA.5が13.3%)。いずれのワクチンも従来株に比べ、オミクロン株やその亜種に対する発症予防効果は大幅に低いと考えられている。しかし、年少の小児は小児多系統炎症性症候群(MIS-C)というまれなコロナ合併症のリスクがあるため、ワクチンが利用できることは重要である。成人で観察されたワクチンによる防御効果の減弱やウイルスの急速な進化を考慮すると、やはりブースター接種が必要となる可能性が高い。いずれのワクチンも2回接種後の発症予防効果はさほど高くないが、入院や死亡に至る重症化の予防については持続的に高い効果が得られるという。ホワイトハウスのCOVID-19対策調整担当であるAshish Jha氏は、小児用ワクチンの初回供給分として1000万回分を用意しており、各州が発注できるようにすると述べている。バイデン政権は各州に対し、小児病院などのアクセスしやすい場所に優先的にワクチンを配置し、親の勤務時間外の予約を可能にするよう求めているという。しかし、どこまで普及するかは不確実だ。最近の調査によると、子どもにすぐにワクチンを受けさせたいという親は5人に1人にとどまっているという。(HealthDay News 2022年6月17日)https://consumer.healthday.com/6-17-fda-approves-pfizer-moderna-shots-for-those-5-and-under-2657525031.html.Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
米食品医薬品局(FDA)は6月17日、米国内の生後6カ月以上の小児に対するファイザー社製およびモデルナ社製の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの接種について、緊急使用許可(EUA)を与えたことを発表した。これまでの接種対象年齢は、モデルナ社製ワクチンで8歳以上、ファイザー社製ワクチンで5歳以上だった。今回の許可のタイミングは決して早いとは言えない。COVID-19パンデミックが始まって2年以上になる現在まで、5歳未満の小児が利用できるワクチンはなかった。FDA長官のRobert Califf氏は、「今回の措置により、親や医療従事者などが心待ちにしていた、生後6カ月以上の小児へのワクチン接種が可能となった。これにより、他の年齢層と同様に、COVID-19による入院や死亡などの重症転帰を予防できるだろう」と述べている。米セントジュード小児研究病院のDiego Hijano氏はこのニュースを歓迎する。「幼い子を持つ親たちには、早めに子どもにワクチンを受けさせ、新型コロナウイルスから子どもを守ってほしい。予測モデルによれば、秋は厳しい感染シーズンとなる可能性があり、状況が落ち着いている夏こそ接種の予約を取るべき時だ」と同氏は言う。FDAの今回の決定を受け、米疾病対策センター(CDC)の諮問委員会が接種を推奨すべきかどうかを検討し、CDC所長のRochelle Walensky氏が最終的なゴーサインを出す。とはいえ、課題も残っている。両ワクチンとも臨床試験の多くが、オミクロン株が主流であった時期に実施されており、その後に主流となった変異株に対しては試験で検証されていないからである。オミクロン株の後には、その亜種であるBA.2系統が主流となり、現在では新たにBA.4およびBA.5という系統が増加している(6月11日時点で米国の感染例に占める割合はBA.4が8.3%、BA.5が13.3%)。いずれのワクチンも従来株に比べ、オミクロン株やその亜種に対する発症予防効果は大幅に低いと考えられている。しかし、年少の小児は小児多系統炎症性症候群(MIS-C)というまれなコロナ合併症のリスクがあるため、ワクチンが利用できることは重要である。成人で観察されたワクチンによる防御効果の減弱やウイルスの急速な進化を考慮すると、やはりブースター接種が必要となる可能性が高い。いずれのワクチンも2回接種後の発症予防効果はさほど高くないが、入院や死亡に至る重症化の予防については持続的に高い効果が得られるという。ホワイトハウスのCOVID-19対策調整担当であるAshish Jha氏は、小児用ワクチンの初回供給分として1000万回分を用意しており、各州が発注できるようにすると述べている。バイデン政権は各州に対し、小児病院などのアクセスしやすい場所に優先的にワクチンを配置し、親の勤務時間外の予約を可能にするよう求めているという。しかし、どこまで普及するかは不確実だ。最近の調査によると、子どもにすぐにワクチンを受けさせたいという親は5人に1人にとどまっているという。(HealthDay News 2022年6月17日)https://consumer.healthday.com/6-17-fda-approves-pfizer-moderna-shots-for-those-5-and-under-2657525031.html.Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock