未治療の局所進行または転移性尿路上皮がん患者に対するエンホルツマブ ベドチン(商品名パドセブ)とペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)の併用療法は、標準療法と比べて無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を2倍近く延長することを示した臨床試験の結果が、「The New England Journal of Medicine(NEJM)」3月7日号に発表された。論文の共著者である米ジョンズ・ホプキンス・グリーンバーグ膀胱がん研究所、上部尿路上皮がん集学的クリニックのJean Hoffman-Censits氏は、「この結果は患者にとって画期的だ。局所進行または転移性尿路上皮がん患者のOSをほぼ倍増させるのだから、診療を変える研究結果だと言える」と話している。.尿路上皮がんは膀胱がんの大部分を占めるがんである。米国がん協会の推定によると、米国では2024年に8万3,000人以上が膀胱がんと新規診断され、1万7,000人近くが死亡すると予測されている。.今回の第3相臨床試験は、25カ国、185カ所のがんセンターで治療を受けている局所進行または転移性尿路上皮がん患者886人を対象にしたもの。患者の平均年齢は69歳(範囲22〜91歳)で、76.7%が男性であった。試験参加者は、3週間サイクルでエンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブによる併用療法を受ける群(442人、併用療法群)と標準的な化学療法(ゲムシタビンとシスプラチンまたはカルボプラチンを投与)を受ける群(444人、標準治療群)にランダムに割り付けられた。併用療法の内容は、1日目と8日目に1.25mg/kg(体重)のエンホルツマブ ベドチンを、8日目に200mgのペムブロリズマブを投与するというものだった。.2023年8月時点で、追跡期間は中央値17.2カ月に及んだ。PFSとOSは、併用療法群で12.5カ月と31.5カ月であったのに対し、標準治療群では6.3カ月と16.1カ月であり、併用療法によりOSもPFSもほぼ倍増することが明らかになった。また、治療に関連したグレード3以上の有害事象が発生した患者の割合も、併用療法群の方が標準治療群よりも低かった(55.9%対69.5%)。.ペムブロリズマブはこれまでに何種類ものがんに対する治療薬としてFDAの承認を受けている。しかし、エンホルツマブ ベドチンとペムブロリズマブとの併用療法については、2023年12月に局所進行または転移性尿路上皮がんへの一次治療として承認を得たばかりである。エンホルツマブ ベドチンは、抗体に抗がん薬を加えた「抗体薬物複合体」であり、抗がん薬がモノクローナル抗体に結合し、腫瘍細胞を探し出して破壊する作用を持つ。.Hoffman-Censits氏はジョンズ・ホプキンス大学のニュースリリースの中で、「われわれは、この(積極的な)治療法を受ける患者の数を増やしているところだ。なぜなら、従来の標準化学療法が適応とならない患者や、それがもたらし得る高い毒性に耐えることができない患者が数多くいるからだ」と話している。(HealthDay News 2024年3月11日).https://www.healthday.com/health-news/cancer/drug-combo-marks-advance-against-bladder-cancer.Copyright © 2024 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
未治療の局所進行または転移性尿路上皮がん患者に対するエンホルツマブ ベドチン(商品名パドセブ)とペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)の併用療法は、標準療法と比べて無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を2倍近く延長することを示した臨床試験の結果が、「The New England Journal of Medicine(NEJM)」3月7日号に発表された。論文の共著者である米ジョンズ・ホプキンス・グリーンバーグ膀胱がん研究所、上部尿路上皮がん集学的クリニックのJean Hoffman-Censits氏は、「この結果は患者にとって画期的だ。局所進行または転移性尿路上皮がん患者のOSをほぼ倍増させるのだから、診療を変える研究結果だと言える」と話している。.尿路上皮がんは膀胱がんの大部分を占めるがんである。米国がん協会の推定によると、米国では2024年に8万3,000人以上が膀胱がんと新規診断され、1万7,000人近くが死亡すると予測されている。.今回の第3相臨床試験は、25カ国、185カ所のがんセンターで治療を受けている局所進行または転移性尿路上皮がん患者886人を対象にしたもの。患者の平均年齢は69歳(範囲22〜91歳)で、76.7%が男性であった。試験参加者は、3週間サイクルでエンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブによる併用療法を受ける群(442人、併用療法群)と標準的な化学療法(ゲムシタビンとシスプラチンまたはカルボプラチンを投与)を受ける群(444人、標準治療群)にランダムに割り付けられた。併用療法の内容は、1日目と8日目に1.25mg/kg(体重)のエンホルツマブ ベドチンを、8日目に200mgのペムブロリズマブを投与するというものだった。.2023年8月時点で、追跡期間は中央値17.2カ月に及んだ。PFSとOSは、併用療法群で12.5カ月と31.5カ月であったのに対し、標準治療群では6.3カ月と16.1カ月であり、併用療法によりOSもPFSもほぼ倍増することが明らかになった。また、治療に関連したグレード3以上の有害事象が発生した患者の割合も、併用療法群の方が標準治療群よりも低かった(55.9%対69.5%)。.ペムブロリズマブはこれまでに何種類ものがんに対する治療薬としてFDAの承認を受けている。しかし、エンホルツマブ ベドチンとペムブロリズマブとの併用療法については、2023年12月に局所進行または転移性尿路上皮がんへの一次治療として承認を得たばかりである。エンホルツマブ ベドチンは、抗体に抗がん薬を加えた「抗体薬物複合体」であり、抗がん薬がモノクローナル抗体に結合し、腫瘍細胞を探し出して破壊する作用を持つ。.Hoffman-Censits氏はジョンズ・ホプキンス大学のニュースリリースの中で、「われわれは、この(積極的な)治療法を受ける患者の数を増やしているところだ。なぜなら、従来の標準化学療法が適応とならない患者や、それがもたらし得る高い毒性に耐えることができない患者が数多くいるからだ」と話している。(HealthDay News 2024年3月11日).https://www.healthday.com/health-news/cancer/drug-combo-marks-advance-against-bladder-cancer.Copyright © 2024 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock