早期死亡リスクの推定では、BMIよりも体脂肪率の方が優れた指標となることが、新たな研究で示された。体脂肪率が高い人は、15年以内にあらゆる原因で死亡するリスク(全死因死亡リスク)や心臓病で死亡するリスクの高いことが明らかになったという。米フロリダ大学医療サービス・管理・政策学教授のArch Mainous Ⅲ氏らによるこの研究の詳細は、「Annals of Family Medicine」に6月24日掲載された。 BMIの計算法はシンプルだが、脂肪による体重増加と筋肉による体重増加の違いなどの重要な要素が考慮されていない。これまで、体脂肪を直接的に測定する方法は費用がかかり、導入が難しかったため、医師は間接的な測定方法であるBMIで代用してきた。しかし近年、生体電気インピーダンス(BIA)法を用いて体脂肪を測定する新型の機器の価格が低下し、医療現場でも使用が広がりつつあるという。こうした機器は、筋肉のような脂肪のない組織は電気を通し、脂肪組織は電気を通さないという原理に基づいて体脂肪率を計算する。 Mainous氏らは今回の研究で、1999~2004年に米国国民健康栄養調査(NHANES)に参加した20〜49歳の4,252人のデータを分析した。参加者には身長、体重、ウエスト周囲径の測定のほか、BIA法を用いた体脂肪率の評価も行われた。Mainous氏らはこれらの測定値を2019年までの死亡記録と照らし合わせながら、各参加者を15年間にわたって追跡した。 その結果、体脂肪の分析は全死因死亡リスクの予測に有効であり、また疾患別では、心臓病による死亡リスクの予測能に優れていることが明らかになった。具体的には、体脂肪率が27%以上の男性と44%以上の女性では、体脂肪率が低い同性の人と比べて15年以内に死亡するリスクが78%、心臓病で死亡するリスクが3.6倍高いことが示された。一方、BMIではそのようなリスクは予測できないことが分かった。また、ウエスト周囲径も死亡リスクを正確に予測するもう一つの指標であることも明らかになった。ウエスト周囲径が40インチ(約102cm)以上の男性と35インチ(約89cm)以上の女性は、全死因死亡リスクが59%高く、心臓病により死亡するリスクは4倍高かった。 Mainous氏は、「これは、体組成評価におけるゲームチェンジャーとなる結果だ。われわれの研究は、将来の死亡リスクの評価において、体脂肪の直接的な測定法と間接的な測定法を比較する、いわば『コカコーラ対ペプシコーラ競争』のようなものだ」と話している。体重が健康に与える影響を反映する指標として、BMIは他の指標ほど正確ではないことを示すエビデンスが蓄積されつつあるが、今回の研究結果もそのようなエビデンスの一つとなるものだ。論文の上席著者である米フロリダ大学地域医療・家庭医療学准教授のFrank Orlando氏もニュースリリースの中で、「体組成や疾患リスクを評価する指標としてBMIに限界があることは、医学界では以前から指摘されていた。BMIは体脂肪率の間接的な指標に過ぎない」と指摘している。 さらにOrlando氏は、「われわれの研究は、診療所でも簡単かつ実用的で低コストで行える体脂肪の直接的な測定がBMIに関わる問題を解決できることを示している」と結論付けている。(HealthDay News 2025年6月27日) https://www.healthday.com/health-news/general-health/body-fat-analysis-waist-size-better-than-bmi-for-assessing-health Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock