寝る前にアイスクリームやチーズなどの乳製品を食べて悪夢を見たことがあるだろうか。1,000人以上を対象に、食生活と睡眠習慣を調査した新たな研究により、乳糖不耐症の症状が重い人は悪夢をより頻繁に見る傾向のあることが明らかになった。モントリオール大学(カナダ)精神医学教授のTore Nielsen氏らによるこの研究結果は、「Frontiers in Psychology」に7月1日掲載された。 この研究は、2015年に実施された食事と夢の関係に関する研究の続編であるという。Nielsen氏は、「以前の研究では、被験者は悪夢の原因を常にチーズのせいにしていた。今回の研究では、その点についてより良い答えが得られたと思う」と話している。 今回の研究では、大学の心理学の授業の一環として実施された詳細なオンライン調査に対する1,082人の回答を用いて、「食べ物は夢に影響を与える」と人々が考える理由についての仮説を検証した。具体的に検討されたのは、特定の食品が夢に直接影響を与えるのか、生理学的症状を介して影響するのか、あるいは睡眠の質の変化を介して影響するのかである。調査は、特定の食べ物が夢に与える影響に関する自己認識に絞った質問のほか、食生活や食物不耐症およびアレルギーに関する質問、性格に関する質問票や睡眠の質の指標(ピッツバーグ睡眠質問表)、および悪夢障害指数で構成されていた。 その結果、調査参加者の40.2%が特定の食品が睡眠に影響すると回答した。内訳は、睡眠を悪化させるが24.7%、睡眠を改善するが20.1%であった。また、5.5%は食品が夢に影響すると回答した。食品が夢に影響するという回答は、悪夢の想起頻度や悪夢障害指数スコアの上昇と関連しており、主にデザートなどの甘いもの(31%)や乳製品(22%)がその原因として挙げられていた。このような食品の影響に関する認識は、食物アレルギーとグルテン不耐症とも関連していた。一方で、睡眠の質の悪化に関する認識は乳糖不耐症と関連し、悪夢障害指数スコアは食物アレルギーおよび乳糖不耐症と強く関連し、さらに乳糖不耐症との関連は胃腸症状の重症度により媒介されていることも示された。 本研究には関与していない米コロンビア大学睡眠・概日リズム研究卓越センター所長のMarie-Pierre St-Onge氏は、「さまざまな夢に関連する睡眠障害の多くは消化器症状に起因している可能性がある」と話す。また、同じく本研究には関与していない、米ボストン大学の神経学者であるPatrick McNamara氏は、「乳糖不耐症の引き金となる食品を摂取すると、ミクロ覚醒と呼ばれる睡眠障害を引き起こす可能性がある」とNBCニュースに対して語っている。このような影響により、悪夢がより強烈なものに感じられる可能性はある。 ただし専門家らは、この研究により乳製品が悪夢を直接引き起こすことが証明されたわけではないと述べ、慎重な解釈を求めている。研究グループは、他の集団を対象にさらなる調査研究を行い、洞察を深めたいとの考えを示している。(HealthDay News 2025年7月2日) https://www.healthday.com/health-news/nutrition/could-dairy-be-causing-your-bad-dreams Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock