血糖値のわずかな上昇が、男性の精力に悪影響を与える可能性があるようだ。たとえ糖尿病の基準値を下回る値であっても、血糖値のわずかな上昇は精子の運動能力や勃起機能の低下と関連することが、新たな研究で明らかにされた。ミュンスター大学病院(ドイツ)のMichael Zitzmann氏らによるこの研究結果は、米国内分泌学会議(ENDO 2025、7月12〜14日、米サンフランシスコ)で発表された。Zitzmann氏らは、「この研究結果は、加齢に伴うホルモンレベルの低下よりも、男性の健康状態の小さな変化の方が、男性の生殖能力に影響を及ぼす可能性があることを示している」と話している。 この研究でZitzmann氏らは、2014年に18〜85歳の健康な男性200人を募集し、2020年まで精液とホルモンのプロファイル、勃起機能、BMIや血糖値などの代謝の健康指標の変化を追跡調査した。最終的に117人が調査を完了した。 追跡データからは、時間が経過してもホルモンレベルと精液のプロファイルは概ね正常範囲内にとどまっていたことが示された。ただし血糖値が、HbA1cの血液検査で糖尿病の閾値である6.5%を下回る範囲でわずかに上昇した男性では、精子の運動能力と勃起機能に低下が認められた。さらに、男性ホルモンであるテストステロンレベルは勃起機能に直接影響を及ぼさないものの、男性の性欲には影響を及ぼす可能性も示唆された。 Zitzmann氏は、「長い間、加齢とテストステロンレベルが男性の性的健康の低下を推進する要因と考えられてきたが、われわれの研究は、そのような変化は血糖値のわずかな上昇やその他の代謝の変化とより密接に相関していることを示している。これは、男性がライフスタイルの選択と適切な医療介入によって、生殖に関する健康を維持または回復するための措置を講じることができることを意味する」と学会のニュースリリースで述べている。 さらにZitzmann氏は、「この研究から得られた知見が、医師と患者が、男性の性機能維持のための効果的な計画を策定する上で役立つことを願っている。この研究により、年齢を重ねても、自分の力で性および生殖機能の健康を維持することが可能なことが分かったのだから」と話している。米メイヨー・クリニックは、健康的な食事、定期的な運動、余分な体重を減らすことは、血糖値をコントロールするのに役立つと助言している。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。(HealthDay News 2025年7月21日) https://www.healthday.com/health-news/men-health/male-virility-affected-by-minimal-rises-in-blood-sugar-study-says Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock/fizkes