ウォーキングにより大きな健康効果を得るには1日1万歩も歩く必要はないことが、新たな研究で明らかにされた。死亡や慢性疾患のリスク低下に最も効果的な歩数は1日7,000歩程度で良いことが示されたという。シドニー大学(オーストラリア)公衆衛生学部のMelody Ding氏らによるこの研究の詳細は、「The Lancet Public Health」8月号に掲載された。 Ding氏は、「一部の人に対しては、1日7,000歩がより現実的で達成可能な推奨値となるだろう。もちろん、より活動的な人にとっては1日1万歩も依然として実現可能な目標となり得る」と述べている。 この研究では、論文データベースを用いて、2014年1月1日から2025年2月14日の間に発表された、デバイスで測定された歩数と健康アウトカムとの関連を検討した研究を検索。抽出した57件の研究のシステマティックレビューを実施し、そのうちの31件についてメタアナリシスを行った。 その結果、全死因死亡、心血管疾患の発症、認知症の発症、転倒に関しては、歩数が多いほどリスクが低くなる非線形の逆相関が認められたが、1日5,000〜7,000歩程度でリスク低下が線形から非線形に変化し、それ以上歩数が増えても効果の伸びは小さくなることが示された。 また、1日2,000歩の群と比較して、1日7,000歩の群では、さまざまな健康アウトカムにおいてリスクの低下が認められた。具体的には、全死因死亡リスクが47%低下(ハザード比0.53、95%信頼区間0.46〜0.60)、心血管疾患の発症リスクが25%低下(同0.75、0.67〜0.85)、心血管疾患による死亡リスクが47%低下(同0.53、0.37〜0.77)していた。がんの発症リスクも6%の低下が見られたが、統計学的に有意ではなかった(同0.94、0.87〜1.01)。一方、がんによる死亡リスクは37%低下(同0.63、0.55〜0.72)、2型糖尿病の発症リスクは14%低下(同0.86、0.74〜0.99)、認知症の発症リスクは38%低下(同0.62、0.53〜0.73)、抑うつ症状の発症リスクは22%低下(同0.78、0.73〜0.83)、転倒リスクは28%低下(同0.72、0.65〜0.81)していた。 Ding氏らによると、非常に活動量の少ない場合と比べて、たとえ控えめな歩数でも活動している場合の方が、健康状態が良好であることも示されたという。同氏らは、「例えば、1日2,000歩と1日4,000歩を比較すると、後者では前者に比べて全死因死亡リスクが36%低いなど、大幅なリスク低下と関連していた」と述べている。 Ding氏らは、「具体的な数値目標に関わりなく、1歩1歩が大切であることを示した本研究結果は、公衆衛生の核となるメッセージとして強調されるべきだ」と述べている。(HealthDay News 2025年7月23日) https://www.healthday.com/health-news/exercise-and-fitness/you-might-not-need-as-many-daily-steps-as-you-think-review-argues Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock