歩くときの爪先の角度を個別に修正することで、変形性膝関節症の痛みを大幅に軽減できる可能性のあることが新たな研究で示された。また、この治療アプローチにより膝にかかる負荷が軽減され、変形性膝関節症の進行を遅らせることができる可能性があることも示唆されたという。米ニューヨーク大学(NYU)グロスマン医科大学のValentina Mazzoli氏らによるこの研究結果は、「The Lancet Rheumatology」に8月12日掲載された。 Mazzoli氏は、「この研究結果は、膝関節への負荷を減らす上で最適な爪先の角度を見つけるのを手助けすることが、初期の変形性膝関節症に対処するための容易で安価な方法となり得ることを示唆している」と述べている。同氏はさらに、「この治療戦略を用いることで、患者の鎮痛薬への依存が軽減され、膝関節置換術が必要となるまでの時間を延長できる可能性がある」とNYUのニュースリリースの中で付け加えている。 この研究では、症状のある18歳以上の内側型変形性膝関節症患者68人(平均年齢64.4歳、女性60%)を対象にランダム化比較試験を実施し、膝関節の内側にかかる負荷を最大限に減らすために爪先の角度を調整する個別化介入が疾患の進行抑制に役立つのかが検討された。試験参加者のトレッドミルでの歩行データを用いてコンピュータープログラムが歩行パターンをシミュレーションし、膝にかかる最大負荷が計算された。介入群は、膝への負荷が最大限減ると考えられる爪先の角度(爪先を5°または10°内向きまたは外向きに調整する)で歩くことを、対照群は普段通りの自然な爪先の角度の維持を目標に、それぞれ最大6回の歩行訓練を受けた。主要評価項目は、1年後の内側膝関節の痛み(数値で評価)と膝関節内転モーメントのピーク値(膝にかかる負荷の指標)とした。 その結果、1年後の膝関節の痛みは、介入群で対照群に比べて有意に減少したことが示された(群間差−1.2点、P=0.0013)。研究グループは、介入群での痛みの減少は、10段階の疼痛スケールによる評価で2.5点であったとし、「これは非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)やアセトアミノフェンなどの市販の鎮痛薬の効果と同等だ」と述べている。また、膝関節内転モーメントのピーク値(体重と身長で標準化した指標で評価)も有意に減少していた(群間差−0.26、P=0.0001)。 Mazzoli氏は、「これらの結果は、変形性膝関節症に対しては、画一的なアプローチを取るのではなく、患者ごとに最適化した治療が重要であることを浮き彫りにしている。個別化戦略は一見困難に思えるかもしれないが、最近では人工知能(AI)が進歩して、さまざまな身体部位の動きを検知できるようになってきた。これにより、これまで以上に容易かつ迅速に個別化治療を行える可能性がある」と述べている。研究グループによると、スマートフォンの動画を使って膝関節への負荷を推定するAIソフトウェアが利用可能になり、医師が特殊な実験設備を使わずに歩行分析を行えるようになっていると話している。 研究グループは、これらのAIツールが実際に変形性膝関節症患者にとって最適な歩き方を特定するのに役立つかどうかを検証する予定であるという。また、研究対象を肥満患者にも拡大する予定だとしている。(HealthDay News 2025年8月13日) https://www.healthday.com/health-news/bone-and-joint/a-small-change-in-your-stride-can-ease-knee-arthritis-pain Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock