関節リウマチ(RA)は、免疫システムの早期老化が一因で生じる可能性のあることが、新たな研究で示された。この研究では、関節痛や関節炎を有する人において、免疫の老化が進んでいる兆候が認められたという。英バーミンガム大学免疫老化分野のNiharika Duggal氏らによるこの研究の詳細は、「eBioMedicine」に9月3日掲載された。 Duggal氏らは、「これは、免疫の老化がRAの発症に直接的な役割を果たしている可能性があることを示唆している」と述べている。RAは、免疫系が自身の関節を攻撃することで発症する自己免疫疾患の一種である。 この研究でDuggal氏らは、224人の参加者を対象に、RAの初期段階にある人において免疫老化の兆候が認められるのかどうかを検討した。参加者のうち、32人は臨床的に疑わしい関節痛(平均年齢46.5歳、男性11%)、44人は分類不能の関節炎(平均年齢51.96歳、男性21%)、23人は新規発症RA(発症後3カ月以内、疾患修飾性抗リウマチ薬〔DMARD〕未使用、平均年齢56.5歳、男性30%)、56人はRA(発症後3カ月以上、DMARD未使用、平均年齢56.41歳、男性41%)を持っていた。残る69人は健康な対照(平均年齢57.12歳、男性28%)であった。免疫老化の特徴はフローサイトメトリーにより評価され、8種類の免疫細胞頻度のサブセットを基に統合スコア(IMM-AGE)が算出された。さらに、免疫老化の分子レベルでの特徴を明らかにするためにトランスクリプトーム解析を行った。 その結果、臨床的に疑わしい関節痛と分類不能の関節炎を有する参加者では、ナイーブCD4 T細胞と胸腺から血中に移行した直後の新生T細胞が減少していることが明らかになった。また、Th17細胞、制御性T細胞(Treg)、老化様T細胞の増加などの免疫老化の特徴は、RAの発症後にのみ見られることも判明した。総じて、RA発症前の早期段階の人でもIMM-AGEスコアは上昇を示し、炎症やオートファジー(細胞の自食作用)の低下などの老化の兆候も確認された。 Duggal氏は、「RAの早期段階、つまり臨床的に診断を受ける前の段階にある人でも、免疫システムの老化が進んでいる兆候が認められた」と述べ「この結果は、RAを予防する治療法の開発につながる可能性がある」と期待を示している。同氏はさらに、「これらの結果は、損傷した細胞を除去する体内の自然なプロセスを促進するなど、老化を遅らせる治療法を用いることで、リスクのある人の疾患の進行を阻止し、発症を防ぐことができる可能性を示唆している」と話している。 研究グループは、「今後の研究では、既存の薬により免疫の早期老化を防ぎ、RAリスクが高い人の疾患の進行を遅らせたり止めたりできるのかどうかに焦点が当てられる可能性がある」と述べている。(HealthDay News 2025年9月10日) https://www.healthday.com/health-news/bone-and-jointjoint/premature-immune-aging-might-be-driver-of-rheumatoid-arthritis Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock