新たな血液検査により、症状が現れる最大10年前からヒトパピローマウイルス(HPV)が原因の頭頸部がんを検出できる可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。HPV-DeepSeekと呼ばれるこの検査は、腫瘍から剥がれて血流に入ったHPV DNAの微細な断片を検出するものだという。米ハーバード大学医学大学院および米Massachusetts Eye and EarのDaniel Faden氏らによるこの研究結果は、「Journal of the National Cancer Institute」に9月10日掲載された。 研究グループは、この検査の妥当性が確認されれば、HPV関連の頭頸部がんを検査できる初のスクリーニング検査になる可能性があるとしている。Faden氏は、「われわれの研究は、無症状の個人において、がんと診断される何年も前にHPV関連頭頸部がんを正確に検出できることを初めて示した」と話している。 頭頸部がんは、首から上の領域に発生するがんの総称で、口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、鼻腔・副鼻腔がん、唾液腺がんなどが含まれる。米国における頭頸部がんの約70%はHPVが原因である。研究グループによると、頭頸部がんにはスクリーニング検査が存在しないため、がんが進行して体の他の部位に転移してから診断されるケースが多いという。 研究グループによると、HPV-DeepSeekに関する過去の研究では、診断精度が99%に達する可能性が示されているという。今回の研究でFaden氏らは、Mass General Brighamのバイオバンクから、HPV関連頭頸部がん診断の1.3〜10.8年前に採取された血漿サンプル28点と、これらのがん患者と年齢および性別を一致させたがんではない対照の血漿サンプル28点を用いて、HPV-DeepSeekの実臨床での有用性を検討した。 その結果、HPV-DeepSeekはがん患者の28点の血漿サンプルのうち22点で陽性反応を示し(感度79%)、最長で診断の7.8年前にがんを検出できることが示された。一方、対照サンプルで陽性例はなかった(特異度100%)。診断精度は、がん診断前4年以内で最も高く、HPV抗体検査よりも有意に優れていた(P=0.004)。研究グループがさらに、AIを活用して独立した306人のコホートで訓練・検証したところ、28例のがん症例のうち27例を特定することに成功し、感度は96%に向上した。最も早い例では、診断の10.3年前から疾患を予測した。 Faden氏は、「患者が、がんの症状を抱えてクリニックを訪れる頃には、重篤で生涯にわたる副作用を伴う治療が必要になる。HPV-DeepSeekのようなツールによって、これらのがんを非常に早い段階で発見し、最終的には患者の転帰と生活の質(QOL)を向上させることができると期待している」と話している。 研究グループは現在、米国立がん研究所から採取した数百点のサンプルを使った追跡研究で、これらの結果の検証作業を行っているところである。(HealthDay News 2025年9月12日) https://www.healthday.com/health-news/cancer/first-ever-detection-for-early-head-and-neck-cancers-under-development Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock