手術後のがん患者に対する遠隔モニタリングは、機能回復や症状改善に有効であることが新たな研究で示された。医療チームが遠隔で症状を追跡した患者は、手術からより早く回復したという。米マイアミ大学シルベスター総合がんセンターのTracy Crane氏らによるこの研究結果は、「npj Digital Medicine」に8月28日掲載された。Crane氏は、「退院後の最初の2週間は極めて重要だ。遠隔ケアは、病院と自宅の間の溝を埋め、問題を早期に発見し、回復をサポートするのに役立つ」と話している。 この研究では、消化器がん、泌尿・生殖器がん、婦人科がんに対する大規模な腹部または骨盤手術を受ける患者293人を対象にランダム化比較試験を実施し、周術期の遠隔モニタリングの有効性を検討した。対象患者は、スマートフォン(以下、スマホ)のアプリによる遠隔モニタリングを受ける群と、手術のみを受ける群(対照群)にランダムに割り付けられた。両群とも手首に活動量計を装着して歩数などの機能的活動量を測定するとともに、手術前と退院後7・14・30・60・90日目にモバイルアプリを通じて症状を報告したが、遠隔モニタリング群では、トリアージ看護師が患者の症状と歩数データを追跡し、問題があると判断した際には患者に連絡を取った。一方、対照群では、基準値を外れた場合には病院に電話するよう促す自動メッセージが患者に送られた。 Crane氏は、「この研究は、現実世界の状況を反映するように設計されている。われわれの目標は、介入が患者と医療提供者にとって実行可能で有意義なものであることを保証することだった」と述べている。 その結果、遠隔モニタリング群では対照群と比べて、手術後2週間までの機能回復率が6%程度高いことが示された。また、遠隔モニタリング群では、症状の重症度スコアの変化が手術後90日で統計的に有意に改善したほか、日常生活への症状の影響も14日と90日で有意に改善し、主要な術後合併症も有意に少なかった。 Crane氏は、自宅で回復する患者のバイタルサインを追跡できる機器が現在では数多く利用可能になっていることを指摘した上で、本研究結果を「革新を呼びかける呼びかけ」と表現している。同氏は、「未来の医療提供者は、接続されたデバイスからのデータストリームを自在に活用し、分野を超えた専門家と連携し、あらゆる意思決定において患者を最優先に考えるべきだ。テクノロジーは、こうしたことを実現するのに役立つ」と述べている。 研究グループは、今後の研究では、特定の種類の外科手術やがんに対する最適なモニタリングに焦点を当てるべきだとの考えを示している。(HealthDay News 2025年9月23日) https://www.healthday.com/health-news/cancer/remote-monitoring-improves-recovery-from-cancer-surgery Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock