冠動脈疾患(CHD)や心不全(HF)、脳卒中などの心血管疾患(CVD)の発症前には、少なくとも1つの警告サインが現れているようだ。CVDの発症前には、以前よりCVDの主なリスク因子とされている高血圧、脂質異常症、高血糖、および喫煙の4つの因子のうちの少なくとも1つが99%以上の確率で存在していることが、新たな研究で示された。米ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部のPhilip Greenland氏らによるこの研究結果は、「Journal of the American College of Cardiology(JACC)」に9月29日掲載された。 研究グループは、この結果は、CVDは予兆なく発症することが多いという一般的な考え方を否定するものだとしている。Greenland氏は、「この研究は、CVDの発症前に1つ以上の最適ではないリスク因子にさらされる確率がほぼ100%であることを、極めて強い説得力をもって示している」と述べている。同氏は、「今後は、治療が容易ではなく因果関係もない他の要因を追求するのではなく、これらの修正可能なリスク因子をコントロールする方法を見つけることに、これまで以上に力を入れるべきだ」と同大学のニュースリリースの中で付け加えている。 この研究では、韓国国民健康保険サービス(KNHIS)コホート(934万1,100人、ベースライン時に20歳以上、追跡期間2009〜2022年)と、米国のアテローム性動脈硬化症(MESA)の多民族研究コホート(6,803人、ベースライン時に45〜84歳、追跡期間2000〜2019年)のデータが解析された。Greenland氏らは、追跡期間中にCHD、HF、または脳卒中を発症した人を特定し、発症前に高血圧、脂質異常症、高血糖、および喫煙の4つのリスク因子が最適ではないレベルだった割合を調べた。最適ではないレベルとは、1)収縮期血圧が120mmHg以上または拡張期血圧が80mmHg以上、あるいは降圧薬の使用、2)総コレステロールが200mg/dL以上または脂質低下薬の使用、3)空腹時血糖が100mg/dL以上または糖尿病の診断または血糖降下薬の使用、4)過去または現在の喫煙、である。 その結果、発症前に最適ではないレベルのリスク因子を1つ以上持っていた割合は、CHDではKNHISコホートで99.7%、MESAコホートで99.6%、HFではそれぞれ99.4%と99.5%、脳卒中では99.3%と99.5%と、いずれも極めて高率であることが判明した。この傾向は、年齢や性別に関係なく認められた。60歳未満の女性でのHFや脳卒中ではわずかに低かったが、それでも95%を超えていた。 Greenland氏らは、「心筋梗塞やCHDは先行する主要なリスク因子がない状態で発症するという説がますます一般的になりつつあるが、われわれの研究結果は総じて、この主張に疑問を投げかけるものだ」と結論付けている。同氏らはさらに、「特に血圧、コレステロール、喫煙などのリスク因子は、臨床診断閾値以下であっても、CVDリスクに対して継続的で用量依存的かつ累積的な影響を及ぼす」と指摘している。(HealthDay News 2025年9月30日) https://www.healthday.com/health-news/cardiovascular-diseases/heart-attack-stroke-almost-always-foreshadowed-study-says Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock