シフト勤務で働く人は、腎結石の発症リスクが高いようだ。新たな研究で、シフト勤務者では、非シフト勤務者と比較して腎結石の発症リスクが15~22%高く、この傾向は、特に50歳未満の人や肉体労働をほとんどあるいは全くしない人で顕著なことが示された。中国中山大学の疫学者であるYin Yang氏らによるこの研究の詳細は、「Mayo Clinic Proceedings」10月号に掲載された。 Yang氏らは、「この研究結果は、シフト勤務が腎結石発症のリスク因子として考慮されるべきであることを示唆するとともに、シフト勤務者の間で腎結石の発症予防を目的とした健康的なライフスタイルを推進する必要性を強調するものだ」と結論付けている。 腎臓結石は、尿に含まれているシュウ酸カルシウムなどの物質が腎臓内で塊となってできる硬組織である。腎結石が尿管に下降すると(尿管結石)、鋭い痛みや吐き気などを引き起こすことがある。 今回の研究でYang氏らは、UKバイオバンク参加者22万6,459人(平均年齢52.55±7.07歳)のデータを用いて、シフト勤務と腎結石発症との関連を検討した。対象者の16.13%(3万6,537人)がシフト勤務に従事していた。 中央値13.7年の追跡期間中に2,893人が腎結石を発症していた。解析の結果、シフト勤務者では非シフト勤務者と比較して腎結石の発症リスクが15%高いことが明らかになった(ハザード比1.15、95%信頼区間1.04〜1.26)。シフト勤務者の中で最もリスクが高いのは夜間勤務者であった(同1.22、1.08〜1.38)。媒介分析からは、シフト勤務と腎結石発症との関連を媒介する因子として、喫煙、睡眠時間、座位時間、BMI、水分摂取量のあることが示された。さらにサブグループ解析からは、シフト勤務と腎結石発症との関連は、50歳未満の人(同1.32、1.14〜1.52)と重度の肉体労働をほとんどあるいは全く行わない人(同1.27、1.09〜1.47)で顕著に高いことが示された。 この研究の付随論評を執筆した米メイヨー・クリニックの腎臓専門医Felix Knauf氏は、シフト勤務が人間の睡眠・覚醒サイクル(概日リズム)に与える影響も、腎結石リスクの一因となっている可能性が高いとの見方を示している。同氏は、「人の体内時計は、水分バランスや体内の化学反応を調節するシステムの制御に役立っている。したがって、シフト勤務が腎結石の形成を促進するという本研究で観察された影響は、少なくとも部分的には、シフト勤務が概日リズムを乱すことによる影響を反映していると言える」との考えを示し、「この研究結果は、勤務スケジュールの柔軟性の向上など、腎結石のリスク要因を改善するための取り組みを模索する必要があることを浮き彫りにしている」と指摘している。 Yang氏も、「シフト勤務者の健康的な生活習慣をサポートすることは、彼らの泌尿器の健康に大きな影響を与える可能性がある」としてKnauf氏に同意を示している。またYang氏は、「職場における健康促進活動には、体重管理、水分摂取量の増加、健康的な睡眠習慣、座位時間の減少、禁煙の重要性を強調する教育プログラムを組み込むことが有効だ。これらの介入は、シフト勤務が腎結石形成に及ぼす悪影響を軽減し、労働者の健康を改善する可能性を秘めている」と話している。(HealthDay News 2025年10月1日) https://www.healthday.com/health-news/digestive-system/shift-workers-face-higher-risk-for-kidney-stones Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock