ソーシャルメディアは10代の子どもの脳の力を低下させている可能性のあることが、新たな研究で示唆された。9〜13歳にかけてのソーシャルメディアの利用時間の増加は、読解力、記憶力、言語能力などの認知テストの成績が低いことと関連していたという。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)小児科分野のJason Nagata氏らによるこの研究結果は、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に10月13日掲載された。 Nagata氏は、「この研究では、ソーシャルメディアの使用時間が少なくても、認知能力の低下と関連していることが示された。この結果は、思春期初期の脳がソーシャルメディアへの露出に特に敏感である可能性を示唆しており、こうしたプラットフォームは年齢に合った形で導入することと、注意深く監視することの重要性を強調している」と述べている。 この研究でNagata氏らは、米国最大の長期脳発達研究である思春期脳認知発達(Adolescent Brain Cognitive Development;ABCD)研究の参加者6,554人(女児48.9%)のベースライン(2016〜2018年、9〜10歳)、1年後(2017〜2019年)、2年後(2018〜2020年)の3時点のデータを解析した。グループベースの軌跡モデリングにより対象者の1日当たりのソーシャルメディア使用時間の推移を分析し、使用しない/使用時間が極めて少ない群(13歳時点で0.3時間/日、57.6%)、低レベルから増加した群(+1.3時間/日、36.6%)、高レベルから増加した群(+3時間/日、5.8%)の3群に分類した。 その結果、使用しない/使用時間が極めて少ない群と比較して、低レベルから増加した群および高レベルから増加した群では、音読認識テストのスコアがそれぞれ−1.39点と−1.68点、エピソード記憶を評価するPicture Sequence Memory Testのスコアが−2.03点と−4.51点、絵画語彙発達検査のスコアが−2.09点と−3.85点、総合スコアが−0.85点と−1.76点、低いことが明らかになった。 Nagata氏は、「これらの差は軽微だったが一貫して認められた。読解力や記憶力といった認知能力は学習の基盤となるため、たとえ大規模集団におけるわずかな低下であっても、教育に重要な影響を与える可能性がある」と述べている。 Nagata氏らは、一部の子どもは宿題をせずにソーシャルメディアを見ていて、それが教育と発達に影響を与えているのではないかと疑っている。Nagata氏は、「ソーシャルメディアは非常に双方向的であり、読書や学業に費やす時間を奪ってしまう。幼い頃から健全なスクリーン習慣を身につけることは、学習と認知能力の発達を守るのに役立つ可能性がある」と話している。 さらにNagata氏らは、この研究結果は、日中の携帯電話の使用を制限するという学校による最近の取り組みや、ソーシャルメディアに対する年齢制限の強化といったより厳格な対策を裏付けるものだとの見方を示している。ただし、研究グループは、この研究は観察研究であるため、ソーシャルメディアの使用と子どもの認知能力との間の直接的な因果関係が明らかにされたわけではないことも指摘している。(HealthDay News 2025年10月14日) https://www.healthday.com/health-news/child-health/social-media-might-stunt-students-intellect-study-says Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock