人工知能(AI)は、医師が緑内障のスクリーニングをより広く実施できるようにする手助けとなるかもしれない。新たな研究で、機械学習のアルゴリズムは、訓練された人間の評価者よりも緑内障のリスクがある患者を正確に特定できることが示された。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン眼科学研究所教授のAnthony Khawaja氏らによるこの研究結果は、米国眼科学会議(AAO 2025、10月18〜20日、米オーランド)で発表された。 緑内障は、視神経の乳頭が障害を受けて視野に欠損(盲点の拡大)が生じ、最終的には失明に至る疾患で、多くの場合、眼圧の上昇が原因となる。緑内障は通常、眼圧を下げる点眼薬で治療されるが、手術が必要になることもある。 Khawaja氏は、「緑内障は依然として、世界的に見て回復させることのできない視力喪失の主要な原因の一つである。現状では、緑内障の検査は高額過ぎる。AIソリューションに遺伝的リスクに基づくターゲット設定などの他のアプローチを組み合わせることが、その解決策になると期待している」とニュースリリースの中で述べている。 Khawaja氏らは、人口ベースの大規模コホート研究「EPIC-Norfolk Eye Study」で収集された6,304枚の眼底写真を用いて、機械学習アルゴリズムと人間の評価者との間で、緑内障の重要な指標である垂直Cup/Disc比の評価に対する正確さを比較した。垂直Cup/Disc比とは、視神経乳頭(Disc)に対する視神経乳頭陥凹(Cup)の大きさの割合のことで、値が0.7以上だと緑内障が疑われる。 その結果、機械学習アルゴリズムは緑内障患者を88~90%の確率で正しく識別したのに対し、人間の判定者の場合は79~81%にとどまっていた。ただし、このアルゴリズムは、緑内障確定患者と緑内障の可能性がある患者を区別することはできなかった。 Khawaja氏らは、「研究対象者の中で緑内障が疑われたのはわずか11%であり、これは通常の検査で発見される割合と一致することから、この結果は心強い」と述べている。さらに同氏らは、「眼圧など緑内障リスクの他の指標も考慮に入れることで、精度がさらに向上する可能性がある」と述べている。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。(HealthDay News 2025年10月24日) https://www.healthday.com/health-news/eye-care/ai-outperforms-human-experts-in-detecting-glaucoma Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock