生後1年以内に親の離婚や家族との別居などの家族構成の変化を経験した子どもは、将来、乾癬を発症するリスクが高まる傾向にあることが、新たな研究で示された。乾癬は自己免疫疾患の一種で、皮膚の角化細胞のターンオーバーが異常に早くなることでかゆみを伴う鱗状の発疹が生じる。家庭内の混乱によって生じる強いストレスが乾癬発症の一因と考えられるという。リンショーピング大学(スウェーデン)のJohnny Ludvigsson氏とDebojyoti Das氏によるこの研究の詳細は、「Journal of Investigative Dermatology」に9月2日掲載された。 Ludvigsson氏は、「この研究結果は、人生の早期段階で経験する非常にストレスの多い生活要因が免疫系に影響を及ぼし、乾癬などの自己免疫疾患のリスクを高める可能性を初めて示したものである。こうした要因を避けるための簡単なアドバイスはないが、幼い子どもの安全とメンタルヘルスを脅かすストレスの多い生活要因から彼らを守るために、可能な限りの対策を講じるべきだ」とニュースリリースで述べている。 この研究でLudvigsson氏らは、All Babies in Southeast Swedenの前向き出生コホート(1万6,145人)のデータを追跡し、幼少期のストレスがその後の乾癬リスクに影響するのかを検討した。対象児の親は、子どもが1歳、3歳、5歳、8歳のときに行われた調査を通じて、子どもが経験したストレスの多い生活要因について報告した。ストレスの多い生活要因は、「(親/親戚の)死/病気」「新しい家族構成(離婚/別居、新しい大人との同居、新しい兄弟/継兄弟の誕生)」「家庭内紛争(家庭内暴力、心理的虐待など)」の3つに分類された。 1歳時の追跡調査では、単変量解析により、新しい家族構成によるストレスを経験した子どもでは、経験していない子どもと比べて乾癬発症リスクが約4倍に高まることが示された(オッズ比 4.19、95%信頼区間1.01〜11.48)。多変量解析でも、同様の結果が確認された。1・3・5・8歳時の追跡調査データを統合して解析でも、単変量解析では、新しい家族構成によるストレスを経験した子どもで乾癬発症リスクが3倍以上に上昇した(同3.40、1.06〜9.42)。多変量解析では、統計学的に有意ではなかったが、リスクの上昇傾向は認められた。 Ludvigsson氏は、「親の離婚、別居、死は幼い子どもに不安や恐怖を与える可能性があり、生後1年以内にこうした経験をした子どもは、特に影響を受けやすいようだ。これは、非常に幼い子どもは、より年長の子どもや成人よりもストレスの多い生活要因による免疫調節効果の影響を受けやすいという知見と一致している。これらの要因がストレスホルモンであるコルチゾール濃度の上昇を含む防御反応を引き起こし、それが免疫系に影響を与え、乾癬リスクの上昇につながっている可能性があると考えられる」と説明している。 本研究には関与していないサン・ラファエーレ大学(イタリア)医学部細胞組織生物学教授のLuigi Naldini氏は、「ストレスが免疫系に早期にどのような影響を及ぼすのかを解明することは、乾癬の発生メカニズムを解明する上で研究者の助けになる可能性がある。本研究は、乾癬の原因が遺伝子と免疫回路だけで決まるわけではなく、人生の早期段階の経験により形成される可能性もあることを示唆している」と述べている。(HealthDay News 2025年10月24日) https://www.healthday.com/health-news/skin-health/divorce-separation-might-increase-kids-risk-of-psoriasis Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock