アトピー性皮膚炎患者にとって入浴は判断の難しい問題であり、毎日の入浴が症状の悪化を引き起こすのではないかと心配する人もいる。こうした中、新たなランダム化比較試験で、入浴の頻度が毎日でも週に1~2回でも、入浴がアトピー性皮膚炎の症状に与える影響に違いはないことが明らかになった。 この試験を実施した英ノッティンガム大学臨床試験ユニットのLucy Bradshaw氏は、「アトピー性皮膚炎の人でも自分に合った入浴頻度を選べることを意味するこの結果は、アトピー性皮膚炎の症状に苦しむ人にとって素晴らしい知らせだ」と述べている。この臨床試験の詳細は、「British Journal of Dermatology」に11月10日掲載された。 アトピー性皮膚炎は、皮膚の水分保持力の低下や外的刺激や病原体から体を守る力(バリア機能)の低下により、皮膚の乾燥、かゆみ、凹凸などが生じる疾患である。今回の試験では、438人のアトピー性皮膚炎患者(16歳未満108人)を対象に、入浴の頻度が症状に与える影響が検討された。入浴は、シャワーだけを浴びる場合とバスタブに身体を浸す場合の双方を含めた。対象者は、4週間にわたり、週に1〜2回入浴する群(220人)と毎日(週に6回以上)入浴する群(218人)にランダムに割り付けられた。主要評価項目は、週に1回、POEM(patient oriented eczema measure)を使って患者が報告したアトピー性皮膚炎の症状であった。 その結果、ベースライン、および1、2、3、4週目の平均POEMスコアは、毎日入浴した群でそれぞれ14.5点、11.7点、12.2点、11.7点、11.6点、週1〜2回入浴した群ではそれぞれ14.9点、12.1点、11.3点、10.5点、10.6点であった。両群間の4週間の平均POEMスコアの調整差は−0.4(95%信頼区間−1.3~0.4、P=0.30)であり、有意な差は認められなかった。 共著者の1人であり、自身もアトピー性皮膚炎に罹患しているノッティンガム大学Centre of Evidence Based Dermatology(CEBD)のAmanda Roberts氏は、「この研究結果には非常に安心した」と話す。同氏は、「日常生活の中にはアトピー性皮膚炎の症状に影響する可能性があるものがたくさんある。そのため、入浴やシャワーの頻度はそこに含まれないと知っておくのは、心配事が一つ減って喜ばしいことだ」と話している。 研究グループは次の研究で、アトピー性皮膚炎の再発の治療において、ステロイド薬をどのくらいの期間使用すべきかを調べる予定だという。Bradshaw氏は、「アトピー性皮膚炎患者と緊密に協力しながらこの研究を共同設計できたことは素晴らしい経験だった。われわれは、これまでの研究では十分に注目されてこなかった、アトピー性皮膚炎患者の生活にまつわる疑問に答えを見つけ始めたところだ」と述べている。(HealthDay News 2025年11月12日) https://www.healthday.com/health-news/skin-health/whats-better-for-eczema-bathing-daily-or-weekly Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock