片頭痛を回避したいなら、退屈な日常生活のルーティンを守る方が良いようだ。新たな研究で、日々のルーティンを大きく乱す予想外の出来事(サプライザル)は、その後12〜24時間以内の片頭痛の発生リスクの上昇に強く関連していることが明らかになった。食べ過ぎや飲み過ぎ、夜更かし、ストレスフルな出来事、予想外のニュース、急激な気分の変化などは、身体に予想外の負荷を与え、片頭痛を引き起こす可能性があるという。米ハーバード大学医学大学院麻酔・救急・疼痛医学分野のDana Turner氏らによるこの研究結果は、「JAMA Network Open」に11月11日掲載された。 今回の研究では、2021年4月から2024年12月にかけて登録された片頭痛患者109人(年齢中央値35歳、女性93.5%)のデータが分析された。研究参加者は、片頭痛の発作と考えられる誘因を日記に記録した。Turner氏らは、参加者ごとに片頭痛の行動・感情・環境的誘因の平均値を算出し、そこから予想外のずれが見られた日を調べた。 その結果、サプライザルの程度が大きい出来事は、その他の要因や個人差を調整した後でも、12時間以内の片頭痛リスクを56%、24時間以内のリスクを88%高めることが示された。 こうした結果を受けてTurner氏らは、「この研究結果は、個人の経験が通常のパターンからどの程度逸脱しているかが、近い将来の片頭痛リスクを予測する指標となり得ることを示している。この研究結果は、片頭痛の治療では、考えられる一連の原因にとどまらず、日常生活の予測不可能で状況依存的な特徴を考慮したパーソン・センタード・アプローチが重要であることを支持している」と結論付けている。 米ノースウェル頭痛センター所長のNoah Rosen氏は、この結果について、「その大部分が私も含めた多くの人々が抱いている片頭痛のイメージ、すなわち刺激の変化に対する過剰な反応として現れることが多いというイメージに一致している」とニュースリリースの中で述べている。また、同氏は「われわれの身体は、適切な量の食事、睡眠、水分補給により恒常性(ホメオスタシス)を維持している。片頭痛はその一部が乱れたときに作動する警報システムのようなものかもしれない」と付け加えている。 このことは、片頭痛患者のうち特定の誘因を特定できている人の割合が70%にとどまる理由かもしれないとRosen氏は言う。片頭痛患者は通常からのずれではなく、特定の要因を見つけようとしているのだ。同氏は、「サプライザルとは、日常の活動から外れていたり、普段とは異なる反応が求められたりすることと言えるだろう。突然のストレスフルな出来事には、トラウマになる経験や喧嘩、予想外の悪いニュース、あるいは良いニュースも含まれる。仕事、学校、家庭での日常の活動が他の出来事によって中断されるような状況もこれに該当する」と説明している。 Turner氏らは今後の研究で、「予想外の出来事を調査するためのより精度の高い方法を探るべきである」と述べている。また、こうした方法が見つかれば、片頭痛患者が発作に備える助けになる可能性があるとの見方を示している。(HealthDay News 2025年11月14日) https://www.healthday.com/health-news/neurology/surprise-migraine-risk-linked-to-disruptions-in-daily-routine Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock