米国では、1999年から2024年の25年間に6万9,000人以上が極端な暑さや寒さを根本原因または一因として死亡したことが、新たな研究で明らかになった。米マサチューセッツ総合病院心臓血管画像研究センターのShady Abohashem氏らによるこの研究結果は、「Annals of Internal Medicine」に11月18日掲載された。 Abohashem氏は、「これまでの研究の多くは生態学的研究かモデルや予測に基づく研究であり、暑熱関連死と寒冷関連死を別々に調査していた。それに対し本研究は、主要な人口統計学的サブグループ全体における極端な暑さや寒さという両端の非最適気温に関連する死亡について、全国規模で実際に観察された最新の評価を提供している」と述べている。また同氏は、「米国では毎年、暑さや寒さへの曝露により何千人もの命が奪われ続けているが、この研究結果は、その多くが予防可能であることを示している」とも述べている。 Abohashem氏らは、米疾病対策センター(CDC)のWONDER(Wide-ranging Online Data for Epidemiologic Research)のプラットフォームのデータを分析し、医療記録のコードに基づいて、死亡証明書に気温が死因または寄与因子として記録されている症例を特定した。 その結果、1999年から2024年の間の米国での死亡者数は6971万3,971人であり、そのうち6万9,256人(約1,000人に1人)では、極端な気温曝露が根本的または寄与的死因として記録されていた(暑熱35%、寒冷65%)。粗推計では、気温関連死亡率は、近年ほど高くなることも示された。このほか、65歳以上の高齢者は若年成人と比べて極端な気温により死亡するリスクが約4倍高かった。また、男性は女性より同死亡リスクが約2.6倍高かった。さらに、黒人は白人と比べて極端な暑さによる死亡リスクが約2倍高く、極端な寒さによる死亡リスクも他の人種・民族より高いことが示された。 Abohashem氏は、「気温に関連した死亡のほとんどは、依然として寒さへの曝露によって引き起こされているが、気候変動が加速するにつれ、熱に関連した死亡者も増加すると予想される」と述べている。 またAbohashem氏は、「気候変動は深刻な気象現象のリスクを高めている。本研究結果は、極端な気象現象が激化する中で脆弱な人々を守るために、住宅の質の向上、冷暖房へのアクセス、早期警報システムなど、的を絞った適応戦略が必要であることを強調している」との考えを示している。さらに、「この結果は、どの集団が不釣り合いに大きな影響を受けている可能性があるのかを理解する助けとなり、それに応じて公衆衛生戦略を効果的に変更することを可能にする」と付け加えている。(HealthDay News 2025年11月18日) https://www.healthday.com/health-news/environmental-health/cold-snaps-heat-waves-kill-thousands-annually Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock