米国とヨーロッパの病院を対象にした研究で、看護師を数人増やすだけで、医療スタッフの燃え尽き症候群(バーンアウト)を大幅に減らし、士気を高められる可能性のあることが明らかにされた。米ペンシルベニア大学看護学部健康成果・政策研究センターのLinda Aiken氏らによるこの研究結果は、「JAMA Network Open」に11月17日掲載された。 Aiken氏は、「医師のバーンアウトは世界的な危機だが、実行可能な解決策はほとんど見つかっていない。われわれの研究は、看護師への投資が『一石二鳥』の解決策、つまり看護師と医師双方のウェルビーイングの改善と患者ケアの強化につながることのエビデンスとなるものだ」と述べている。 この研究では、ヨーロッパ6カ国の医師1,149人(平均年齢41.3歳、女性46.5%)と看護師3,044人、および米国の医師5,334人(平均年齢44.5歳、女性34.9%)と看護師1万1,869人の調査データを用いて、看護師配置の適切さ(人員の充足度)、臨床ケア環境、医師と看護師のチームワークが医師のウェルビーイングや職業アウトカム(バーンアウト、仕事に対する不満、離職意向、自分の病院を他者へ推薦する意向)に与える影響を検討した。 その結果、全体的に医師のウェルビーイングの低下が広く認められ、例えば、1年以内の離職意向を示した医師は、ヨーロッパで29.9%(324/1,083人)、米国では23.8%(1,178/4,959人)、強いバーンアウトを感じていることを報告した医師は、それぞれ30.5%と34.1%に上った。 一方、米国の病院では、臨床ケア環境のスコアを1標準偏差(1SD)改善するだけで、以下のような効果を得られることが示された。 ・離職意向を示す医師が22%減少。・勤務先として自分の病院を他者に推薦しない医師が25%減少。・医師の仕事に対する不満が19%減少。・強いバーンアウトを感じる医師が10%減少。 また、ヨーロッパの病院では、看護師の人員を10%増加した場合に米国と同様の結果が示された。具体的には、離職意向を示す医師が20%減少し、自分の病院を他者に推薦しない医師が27%減少し、仕事への不満が15%低下し、強いバーンアウトを感じる医師が12%減少した。 共著者の1人であるペンシルベニア大学看護学部の看護・健康政策学科長Karen Lasater氏は、「これらの調査結果は、病院のリーダーたちが、すぐにでも行動に移せる今後の道筋を明らかにしている。看護師の人員配置を改善し、支援的な職場環境を整えることは、実現可能でエビデンスに基づいた組織改革であり、看護師と医師の両方の定着率を高める」とニュースリリースの中で話している。(HealthDay News 2025年11月20日) https://www.healthday.com/health-news/mental-health/want-a-happier-hospital-hire-more-nurses-study-says Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Monkey Business Images/Adobe Stock