眠れなくて困っている人は、太極拳が安眠の助けになる可能性があるようだ。中国の新たな研究で、慢性不眠症の中高年の睡眠改善に対する太極拳の効果は、長期的には心理療法と同等であることが示された。香港大学(中国)のParco Sui氏らによるこの研究結果は、「The BMJ」に11月26日掲載された。 Sui氏らによると、慢性不眠症は中高年層が頻繁に訴える問題であり、治療には通常、心理療法の一種である認知行動療法(CBT)が用いられる。しかし、費用やアクセスの制限によりCBTを受けられない人も少なくない。 こうした現状を踏まえて研究グループは、慢性不眠症と診断された50歳以上の中国の成人200人を対象に、太極拳が慢性不眠症の改善に役立つかどうかを検討するランダム化比較試験を実施した。参加者は、自力で歩行でき、睡眠を妨げる健康問題がなく、シフト勤務者でもなく、有酸素運動やマインドフルネス系の運動を行っていなかった。参加者は、3カ月にわたりグループ形式で太極拳を行う群とCBTを受ける群に、それぞれ100人ずつランダムに割り付けられた。太極拳とCBTは、いずれも1回1時間のセッションが週2回、計24回実施された。 主要評価項目は、介入後(3カ月目)および12カ月後の追跡調査時(15カ月目)における不眠重症度指数(ISI)の自覚的変化であった。ISIは「寝つきにくさ」「中途覚醒」「早朝覚醒」「不眠の生活への影響」などを評価し、スコアが低いほど睡眠状態が良いことを示す。太極拳がCBTに対して非劣性であるかどうかを評価するための非劣性マージンは、4ポイントに設定された。 その結果、3カ月後のISIスコアは、CBT群で11.19点、太極拳群で6.67点改善していた。群間差は4.52点(95%信頼区間−∞~5.81)であり、95%信頼区間の上限が非劣性マージンを上回ったため、太極拳の効果はCBTよりも劣っていると判断された。しかし15カ月目になると、太極拳では9.51点の改善、CBT群では10.18点の改善となり、群間差は0.68(同−∞〜2.00)となり、太極拳のCBTに対する非劣性が示された。 研究グループは、太極拳群の慢性不眠症が時間の経過とともに改善した理由として、多くの参加者がプログラム終了後も太極拳を続けていた可能性を挙げている。さらに、太極拳の利点は多くの人にとって取り組みやすいものであることを挙げ、「太極拳は、中高年層や運動習慣のない人にとっても適切な運動と考えられている」と述べている。その上で、「太極拳は、慢性不眠症の長期管理のための代替治療として利用できる可能性がある」と結論付けている。(HealthDay News 2025年12月1日) https://www.healthday.com/health-news/alternative-medicine/tai-chi-might-equal-talk-therapy-in-easing-insomnia Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock